1度目の訪問は、ようやくアメリカでの生活や環境に慣れてきた5月中旬でした。

ドミニカに行く前には、マイナーにいるドミニカ出身の選手たちに、簡単な挨拶や言葉を教えてもらい最低限の準備をしていきました。笑

そう、ドミニカはこれまで僕が苦労に苦労を重ねた(笑)、英語ではなくスペイン語が言語となります。

 

僕は以前に2度、その1度はウインターリーグで2か月ほどドミニカで過ごしたのですが、スペイン語は挨拶、数字くらいしか覚えていませんでした。

「あー、また言葉の壁を感じるのかー」と少しストレスもありましたが、行ってみるとそこまでストレスは感じませんでした。

何故なら、野球はアメリカメジャーリーグで活躍するために英語を話せることも大切なスキルとなるので、コーチ陣やスタッフに話せる人が多いのです。

 

また、僕みたいに英語がカタコトで、相手もネイティブ英語ではないと、意外にもカタコト同士の方が英単語も分かりやすく通じたりするものなんです。笑

 

そして、ドミニカに着くと、チームスタッフのANGEL(アンヘル)が空港に迎えに来てくれ、施設に行く車中では英語でしたが日本のことで話が弾みました。

彼は日本の歴史や文化に興味があったのと、日本のアニメなどもよく見ていたので、そういう共通の話題があったので思いのほか、会話が続きましたね。笑

僕はまた新たな環境になるので、これからの生活に少し緊張や不安もあったのですが、楽しくおしゃべり出来たので一気に気が楽になりました。笑

本当にこういう時に、「優しくしてくれコミュニケーションを取ってくれる人がいると、自分を救ってくれるよなぁ…」

と、改めて大事なことを実感したように思います。

 

そして施設に着くと、目の前には素晴らしいグランド、施設が広がり、そして彼のコミュニケーションのおかげもあり、すぐに不安が無くなっていきました。

 

 

 




そしてチーム合流初日。

ドミニカアカデミーの朝は早く、6時からコーチミーティングが始まります。

僕は早速コーチ陣スタッフ一人一人に挨拶をしていきましたが、本当にみんな凄くフレンドリーで優しく受け入れてくれ、またスプリングキャンプで会ったコーチが何人もいたので、想像してたよりスムーズに合流できましたね。

 

その後ミーティングで選手のコンデイションの確認、今日の流れの確認や前日の反省などをして軽く朝食を摂り、そしていよいよ練習が始まりました。

僕は、まずは周りをよく観察することから始めようと思っていましたが、

「シンジ、ここでは気付いたことがあれば何でも話してくれ。そしてどんどん教えてあげてほしい。」

と、自分では想像していなかったので少しビックリしましたが、もう初日から早速指導してほしいと。

 

これまで僕はマイナーリーグでは研修扱いなので、あまり指導とかは出来る立場にはありませんでした。

しかし、ここアカデミーではどんどん教えてほしいと言われ、僕もここまでアメリカで海外の野球を経験したことで、少し僕の気持ちの中でも疼くものがありました。笑

正直、野球の技術をアドバイスすることに自分自身ウズウズしてたこともあり(笑)、リクエストがあった選手に対してだけですが、

その時の内心は、

「やっと俺の出番が来たぜー!」

なんて思いながら(笑)、自分の出来る限りのアドバイスをしていきました。

 

ちなみに言語は僕のカタコトの英語を、英語の話せるスタッフがスペイン語に訳すという、よく考えたら凄い構図だなと。笑

どちらもカタコト同士なので、選手に伝わる時には「伝言ゲーム」みたいになって違う意味になってたりして…笑

 

そして、ピッチングフォームや球種など何人かの選手にアドバイスを送っていったのですが、もう選手の目の輝きが凄いんです!

本当に素直でスポンジのようにどんどん吸収していく。

僕はある意味教えることに飢えていたのですが(笑)、選手たちは教わることに飢えているかのようでした。

 

それは、ドミニカではアカデミーに入るまで、ほとんど誰にも本格的に技術を教わるということがなく、独学というか自分の感覚だけでプレーしているようなものなのです。

それでも、150km前後の球を投げたり、凄い変化球を投げたりしますが。

こんな素材、レベルの選手がしっかりとした指導を受けた時に、どれくらいの凄い選手になるかと想像しただけでワクワクしますよね!

 

僕は今までの自分の思いを発散するかのような、そしてアドバイスする、技術向上のための指導をするということがこんなに楽しくもあり、やりがいのあるものだと改めて感じ、

「やっぱり僕はコーチがしたい!」という感情が自然に湧いてきたのと同時に、

久々に「心の底から本当に楽しい!」と思える時間を過ごしたのでした。。