3Aに合流して初めての遠征は、テキサス州西側のメキシコ国境すぐ近くのエルパソという街でした。

3Aになると、2Aと違い飛行機での移動が出来るので、今回遠征では初めて飛行機に乗りました。

 

僕は初めて行く街でしたが、街中ではスペイン語が溢れ、球場やファンの盛り上がり方も含めて、ほとんどメキシコなのかな?と、いつもと違うような雰囲気に感じましたね。

 

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エルパソにあるこのチームは、サンディエゴ・パドレス傘下の3Aチームであり、チーム名は「エルパソチワワズ」。

日本ではなかなか付けないネーミングセンスだなぁと。笑

チワワの可愛いイメージとは違い、キャラクターも勇敢な⁉︎感じで、可愛い犬のイメージとはギャップがありましたね。笑

またチーム名の可愛さに似合わず、とても強いチームでした。笑

 

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そのアウェイ試合の第2戦で、日本人の有原投手が先発することになりました。

シーズン開幕時は、僕が2A、彼が3Aスタートだったので、スプリングキャンプが終わった時に彼には、

「7月に僕が3A合流する時にはメジャーに上がっていて、会わないようにしような!」

と、声を掛けていましたが、残念ながら会うことに…

それでも同じ日本人で、同じパ・リーグで戦った相手として、こうやってメジャーに挑戦し、マイナーでも頑張っている姿を見ると誇りにも思うし、僕も彼のために何とか少しでも力になりたいなと強く思いました。

 

そして、登板当日。

僕はいつものようにベンチで試合を見ていると、試合開始直後に突然監督に呼ばれ、

「今日、コウヘイ(有原)がピンチになって、コーチがマウンドに行くことになったら、あなたにマウンドに行ってもらいたい!」

 

僕は即答で、

「ok!  I got it!  (任せてください)」

と言ったのですが、内心は、


「ええっ⁉︎ マジで⁉︎いきなりこんなの想定外やわ!ちょっと緊張するかも…(笑)。

でもこんなチャンスは滅多にないので、それはそれで楽しみやな!」と。笑

 

実は今回は投手コーチが所用により不在で、カバーに来ていた他の投手コーチもたまたまこの日だけ所用が出来たこと、なおかつ同じ日本人だったらマウンドに行っても話がスムーズに出来るだろうという監督の配慮がありました。

 

ただ、僕は有原には、

「今日は何かあれば俺がマウンドに行くことになったから、俺がマウンドに行くことのないようにね。」と、話しました。

 

投手コーチがマウンドに行くということは、ピンチということですから、なるべくそういう投球にならない方がいいので。

 

そして試合は、有原が快調に3回まで無失点に抑えていて、「今日はさすがに僕の出番は無さそうだなぁ…」と思っていたら、次の4回に突如として2本のソロホームランや連打などでピンチとなり、そこで僕がマウンドに行くタイミングが来たのです!

 

僕は監督に「マウンドに行ってきます!」と、一言伝えマウンドに上がりました。

マウンドでは大したアドバイスはしていませんが、間を取って気持ちを落ち着かせるのと、ピッチャーとキャッチャーを話させるという僕なりの目的がありました。

 


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そして僕がマウンドを降り、その後のピンチを有原は踏ん張ることが出来て無失点で乗り切り、チームも見事に接戦をモノにして、有原も勝利投手となったのです。

僕も少しでもこの勝利に貢献できてたとしたら嬉しいですね。

 

昨年はホークスの二軍でマウンドにはしょっちゅう行ってましたが(笑)、まさか今年、ここアメリカの公式戦でマウンドに行くことになるとは全く想像にもしていませんでした。笑

今回はたまたまの事情が重なり、僕にその役割が与えられましたが、結果的には凄く良い経験が出来たと思います。

 

こんな色々な事情が重なって起きた、奇跡的に⁉︎マウンドに初登場するという貴重な経験が出来て、アメリカに来て初めて試合で投手コーチとしての仕事をしたような感覚になり、充実感に浸った思い出の一日となったのでした。。

 

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