フリスコでの日々が始まりました。

キャンプよりもはるかに人数も減り、一つのチームとなったので、よりコミュニケーションも取りやすくなりました。


まだ僕は当たり前ですが満足に英語は話せません。それでも翻訳機を使ったり、カタコトで一生懸命話したり、また2Aフリスコには「イチさん」という日本人トレーナーが所属しているので、イチさんが手の空いてる時や困った時には助けてくれるのでそれだけで精神的にも安心です。笑


そして選手もキャンプの時以上に話しかけてくれるようになりました。

簡単な日常会話くらいなら翻訳機なしで話しますが、技術の話になるとやっぱり通訳が必要で、イチさんや翻訳機に頼りながらコミュニケーションを取っていきました。

人数が少なくなったのもあり、僕もより積極的に話せる雰囲気を感じたのは良かったと思います。


キャンプと同様にまだ選手には僕のことをあまり理解していない選手も多かったので、話しかけてきた時がチャンスだと思い(笑)、キャンプ終盤でやり始めた自分のこれまでの経験やキャリアを話すことを続けていきました。

そうすると説得力が上がり、それが段々と広がっていって、フリスコに来てからようやく僕も1人のコーチとして認識してもらえるようになった気がしました。



ある日、投手コーチから「日本式」のPFP(Pitcher's Fielding Practice。投手の守備練習)をしてほしいと言われ、僕は「これは凄いチャンスが来た!」と。

この練習が選手にとって、これまでとは違うような良い経験になれば、

「日本の良さもわかってくれるだろうし、僕ももっと認めてもらえるはず。」

そう思い、僕は前日からしっかりと準備して、日本で行なっていたように、そしてまたこちらの選手が理解しやすいよう少しアレンジしながら、スムーズにこの練習が行なえるように頭の中で何度もリハーサルしました。

またPFPの注意点や意識しなければならないことなど僕が必ず伝えたいこともあったので、あらかじめ用意していた文章を通訳ヒロくんに訳してもらい、それを自分で紙に書いて準備して挑みました。


そして当日、

「こういう練習の仕方は受け入れてくれるのだろうか?」

という少し不安も抱きながら、選手の反応もしっかりと見て丁寧に進めていきました。


その後、とりあえず無事に一通りのPFPが終わり、最後に投手みんなに集まってもらって準備していた文章を同僚の「エブリ」投手コーチに読んでもらいました。

僕の英語の発音では本当に伝えたい肝心な部分が伝わらないと思ったので。笑


そしてその文章をエブリが読み終えたあと…

すぐに…

拍手やグータッチが!!


「おれは日本式のこの練習が好きだ!」

と言ってくれた選手も多かったのです!


僕は正直思ってもみなかった反応が得られたので本当に嬉しい瞬間になったし、またこの練習を受け入れてもらえたことに凄く安心しました。


そしてこの瞬間、僕はチームの一員として、またコーチとして認められた気がして、本当に充実感で満たされた日となりました。涙


ちなみにこの練習は、

「PFP Japanese Style 」と名づけられ、その後もこの方法で何度か行なうことになったのでした。。笑