アメリカに来る前は想像していなかった辛い日々を経験しながら、前向きに少しずつやれることをやっていこうと心に決めました。

挨拶や準備の手伝いなど簡単なことでも積極的に行なっていく。

そして、一番心掛けたのが、コーチや選手と少しでも会話するということでした。


言葉が通じない所では、特にコミュニケーション能力が求められると思います。

僕がいうコミュニケーション能力とは、いかに自分から接することができるか、そして言葉だけでなく、相手に対する接し方、"接する力"とでもいいましょうか。

なので僕は人見知りな部分もあって、誰とでもすぐに打ち解けたり、明るくはしゃいで踊ったり歌ったり(笑)ということが出来ないため、


「そういう性格の人はいいなあ。本当に羨ましい!」

と思うことが多くなりました。笑

本当にコミュニケーション能力って凄く大事だなと。日本でもそうですが、海外に来ると日本以上に求められる気がします。

 

僕にはそういう、周りがすぐに「あいつは楽しいやつだ!」って思われるようなタイプではないので、その代わりに自分から話しかけにいったり、積極的に周りの輪の中に入っていくことが大事だと思ったのです。

そして少しでもいいから行動に起こそうと心掛けたのでした。


もちろん言葉の壁もあるので、カタコトの英語、ジェスチャー、翻訳機と自分の今持っているもの全てを使ってね。笑


コーチ陣には自己紹介やプレゼンなどでかなり自分のことは知ってもらえました。

しかし選手たちには、まず僕がどういう人間かを知ってもらわないといけない。

というのは選手たちに特別、自己紹介などをする機会もなく、名前とピッチングコーチというだけの認識しかありません。まあずっと名前もほとんど覚えてもらってなかったですが。笑


しかも僕がコーチでそこにいても、アジアから研修に来ているただの1人という感じで…

アメリカメジャーリーグではアマチュア出身のコーチで元プロ野球選手ではない若いコーチも多く、そしてこれまでも何人もアジア人が選手やコーチとしてユニホームを着ているので、珍しくも何ともなく、僕に対してもほとんど興味を示していなかったように思います。

あとで分かったのですが、日本人かどうかも分かっていませんでした。笑


これではもったいない。

自分が日本のプロ野球でプレーしていたこと、そして長い年月でその球団で投手コーチをしていたことなどもっと自分を知ってもらい、色々な話がしたい。

知ってもらえたら、日本のプロ野球のことも、もっと日本の技術についても興味がある選手は必ず聞いてくるはずだ。


そう思ったので、選手の誰とでもいいから少しずつ話せるタイミングを見つけて積極的に自分のことを話していこうと。


それを1人でも多く話していけば、その選手が何かの話題で僕のことに触れた時に、他の選手にも僕がどういった人物なのかを話していくはず。


「そうやってどんどん口コミで広げていってもらう作戦だ!笑」


そして一日に最低1人でも話しかけることを僕の密かな課題として取り組んでいきました。笑


つくづくこちらでは、自分から話しかけないとほとんど何も生まれない、得られない環境なのだと気付かされました。

本当にコミュニケーション能力は大事だなと改めて体感させてもらったのでした。