通訳ヒロくんが来てくれてからは、ミーティングの内容などがちゃんと分かるようになり、本格的にコーチ研修していることを実感できるようになりました。


こちらでまず感じたことは、施設のスケールの違い、マイナーリーグの育成システム、データ分析量、そして選手のポテンシャルの高さでした。


選手のポテンシャルは、本当に凄いと思います。

マイナーの選手でも、野球において日本人より恵まれた体型、身体能力の選手が多く、ブルペンでの投球練習を見ても、右投手であれば最低でも150km前後は投げますし、全体的にみて圧倒的に球に力があります。


「正直日本のマイナーの選手がこの中に入ったらかなり見劣りしてしまうだろうなぁ…」

と、思いましたね。


もちろん日本の選手が全てにおいて劣っている訳ではありません!

(その辺りについてはまた後日書きたいと思います)




また育成システムにおいては、これまで僕が経験してきた以上の、選手各々の細かなデータがあり、メカニック分析、投球分析など、これまでコーチの主観に頼っていた部分が科学的に証明され数値化、可視化できます。

特に驚いたのは、投げている球種それぞれの「質」を数値化していることです。


「今日は調子いいね、調子悪いね」

「あの球はキレがあるね」

「あの球は凄い変化したね」

「あの球はそれほど良くないね」


が、明確に数値化されているので、当然説得力が上がります。

1球1球の質がメジャーの投手と比較してメジャークラスなのかどうかも評価しています。



またデータの部分でも僕が知っている日本のものよりも細かく、大量のデータを持っている印象でした。

それを活かすためにコーチは沢山の仕事を抱えてもいます。


そしてキャンプの中盤くらいまでは、選手に対してのミーティングがほぼ毎日行われます。


チームとしてどう考えていくべきか。

チームの一員としてどう振る舞うべきか。

野球選手としてどう過ごしていくべきか。

投手としてどうあるべきか。

データの見方や評価基準の説明。

栄養学、トレーニング学、メンタル。


などなどが、みっちりと。

毎日それほど長い時間は掛けませんが、色んな分野でのミーティングが開かれるのです。


「やっぱり育成とは教育なんだなぁ」


と改めて感じました。

またコーチとスタッフで、選手1人1人に対するミーティングもかなり濃い内容で行われます。

コーチの主観、アナリスト、ストレングス、トレーナーからの分析と、あらゆる面から意見を述べていき、コーディネーターが意見をまとめる。


僕もホークスでは、コーディネーターのような役職もあり自分なりにやってきましたが、


「求めていたものがここにあった!僕はこういう風にやりたかったんだ!」


と、今まで我流でやってきたことの整理がつき、感動さえ覚えました。


また一番勉強になったのは、日本では監督、コーチの意見が絶対のような雰囲気があるけど、こちらでは、コーチ、スタッフがみんな横一線で意見を交わすことができていて、それぞれがリスペクトし合って議論しているということ。

もちろんみんなが同じ意見じゃないので、最後は決定、判断する役割が必要ですが、こうやってみんなで作り上げていくシステムというか姿勢は本当に素晴らしいことだと感じましたね。


「ここに来て本当に良かった!」

と、僕は頭の中で今までの自分がやってきたことと照らし合わせながら、しみじみと実感したのでした。