映画の話。~パラダイス・リゲインド~ | @in's Hobby Room

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※本記事は『仮面ライダー555 パラダイス・リゲインド』のネタバレ感想となります。

まだご覧でない方は閲覧をお避け下さい。

 

また、本記事はあくまで私の感じた、思ったことをそのまま連ねる内容となります。

同意も否定も求めませんのであしからずご了承ください。

 

『仮面ライダー555 パラダイス・リゲインド』

 

はい、ということで『仮面ライダー555(ファイズ)』放送20周年を記念して製作された完全新作Vシネ作品。

本作はパラレルではなく、"TVシリーズからの正統続編"となっているそうです。そのため、監督や脚本も当時と同じあの人たち。

 

今年2月に先行で期間限定劇場公開され、その後ソフト化/レンタル配信開始。

私はレンタル配信で運よく500円に値下げされているタイミングで見ることができました。

※ちなみにアマゾンプライムでの通常レンタル価格は1800円。見放題ではないので注意。

 

 

 

■はじめに

ずばり言ってしまうと「思ってたんと違う・・・」というのが正直な感想です。

500円だっただけマシと。

 

思い出というのはどうしても補正がかかるので本来以上に綺麗に残るものですが、それを差し引いても本作は厳しい内容であると私は感じました。

懐かしのメンバーと空気感だね、だけでは納得し難い内容に。

 

くれぐれも誤解しないでいただきたいのは「面白かった、よかった」という意見を否定するものではないということです。

 

その上で「こいつぁ・・・」と思うところがあり、今回吐き出すに至りました(苦)

冒頭お伝えした通り同意も否定も求めるものではありませんのでご注意くださいw

「ふーん、君はそう考えるんだね」程度に。

 

もはや悪名高くファンのトラウマと化した『オーズ/復活のコアメダル』の後ということもあり、当初警戒したものの、本作の劇場公開時から絶賛の声が多数上がっていたので今回は安心して見れるんかな~と思ってましたが、どうにも解釈違いというか説明不足というか・・・とにかく尺が足りない感じが否めませんでした。

 

ストーリーは前後しますが各キャラに分けて。

 

■乾 巧

もちろん半田健人氏が演じる主人公。

しぶとく生きてんなというのはともかく(笑)、今作ではスマートブレイン社の送る対オルフェノクの尖兵として登場。

 

最も評価すべきは当時から衰えを感じさせない容姿と眼光。いい感じの年の取り方と言いますか。

さすがに当時のような声を出せとまで酷なことは求めませんが、それにしてもドスを利かせすぎじゃないかというのがひとつ気になりましたw

 

真理にマヨネーズを渡しに来たくだりで、明らかに自らの意思であのカプセルから出てきてると思えるんですが、その直後のシーンでカプセル脱出に手こずっているのはなんで?(笑)

性格もこのあたりでいきなり昔の感じに戻ってきてるので「今までのは別人でやっぱり本物がいたのか?」とすら思ってしまいました。

 

特にそんなこともなく、終始本人だったようで、冒頭のテンションからラストシーンの変わりようは少々戸惑ってしまいました。

確かに元から悩みやすく自身のない性格ではありましたが、吹っ切れた演出というわりに、こう・・・急だなぁって(苦)

※一応流れは描写されてるんですが。一番のきっかけがベッドシーンて。

 

『平成ライダーVS昭和ライダー』や『4号』で客演した時の方が、まだよく解釈できていたような気さえします。

 

■仮面ライダーネクストファイズ

時代に合わせてスマホで変身というの自体は悪くないと思います。そりゃさすがにそうなるよなと。

でもやっぱりいざ変身シーン見ると物足りなさを感じる。

 

しかしまぁそのデザインはといえばグレー基調のスーツ・極めつけは胸のフライパンと、発表時から受け入れ難いものがあり、動くとこ見れば変わるかなと思いましたが・・・

上の要素だけ見ると現場作業着のおっちゃんだな(笑)

 

アクセルフォームへの変化。胸のフライパンはともかく、顔まで回転させる必要はまったく感じなかったし、ファイズらしいスタイリッシュさも欠如(苦)。

悪い意味での平成ライダーっぽさが強い。

かといってそのギミックを再現する玩具が出るわけでもないし、顔に関しては発光変化だけでよかったと思います。

 

必殺技シーケンスも若干ディケイドコンプリートフォームと被ってしまうし、「バックルのガラケーを開いてボタンを押し、パタンッ!と閉じる」という、一見無駄のようなあの動きこそ秀逸だったんだなぁとしみじみ思いました。

・・・だからこそ本作クライマックスのアレが活きるんですが。

 

どのみち真骨彫の注文はしないでおいて良かったのかもしれないw

 

■園田真理/ワイルドキャットオルフェノク

TVシリーズでもオルフェノク化の片鱗というか謎が残されていましたが、今回の正式なオルフェノク化自体に思ったより拒否反応は出ませんでした。

・・・ただし「人間とオルフェノクの共存」という、本来のテーマが根底から覆りましたが。

 

本作がPG12作品かつ当時の視聴者層に向けて作られているとはいえ、オルフェノク同士のラブシーンはあんなにはっきり見せる必要性を感じないしむしろギャグ寸前だったし、そもそもここへきて巧との正式なカップリング成立は余計な事せんで良いわ!と。

 

せっかくのウルフオルフェノクをまさかベッドの上で見るとは思いもしないわ(笑)

 

それまでの真理と草加とのやり取りもあり、ビッチすぎねぇ・・・?と思わせたのもよくない。

 

ワイルドキャットオルフェノクのデザインはよくできていると思います。

でもオルフェノク化できたということはライダーへの変身もできるようになったというわけで、ラストバトルでその辺にぶんながってるファイズドライバーNEXT使って二人のファイズで決着させれば?と、安直でしょうが考えてしまいました。

 

「ライダーとオルフェノクの共闘で倒す」ということが重要だったのかもしれませんが、やってることはほぼ石破ラブラブ天驚拳なんですよね(笑)

 

■草加雅人/仮面ライダーカイザ/仮面ライダーネクストカイザ

ちょっと言い方は悪いですが、隠すつもりもない、良くも悪くも清々しいほどのファンサービス要員。ご本人もサービス精神が旺盛な方ですが。

実際「なつかしいな、こんなことやってたな」とは思わせてくれました。ラーメンの湯切りもやけに似合ってましたしw

 

最初から当たり前のように味方陣営にいて、復活した経緯もものすごく簡単に流されましたが、北崎の正体が明かされたと同時に「ああ、そういうことか」と気づくわけですね。

でも量産させる意味あった?

 

結局は「それ、やらせたいだけだろ」という印象に。

 

ネクストカイザについては草加の正体が発覚し、オリジナルではないという差別化のために必要な演出だったのかもしれませんが、やっぱりちょっと蛇足な登場だったかもしれない。

そしてその処理の仕方がまぁ雑。

 

(真骨彫の注文やベルトのCSM買った人が一体どう思うんでしょうかね・・・)

 

■胡桃玲菜

本作オリジナルのキャラクターとして登場する、新ライダー・ミューズの変身者。

変身を見られるのを恥ずかしがるというのがキャラ付け以外のなんでもなかったというのはともかく、もっとも尺の犠牲にされた印象でした。

 

実は彼女もオルフェノクだった・・・と思いきやそんなことはなく、狂犬系のキャラでいくのかと思いきやそんなこともなく。

 

真理を攫ってオルフェノク化させたのも、てっきり巧を差し向けさせるための展開なのかと思いきやそんなこともなく。

(本来はそういうシナリオにしようとしたのではないかという片鱗は見えますが)

 

巧に好意?憧れ?を抱く描写があったとはいえ、中盤の突然の心変わりが本当に突然すぎて「今までの何だったの?」としか。

そしてそのあとどうなるかはすぐ想像がつきましたが思ったよりグロ死させるなぁくらいの見せ方。

 

もっと尺があればその辺解消されてそうなのが惜しい人材でした。

 

■仮面ライダーミューズ

前述の通り本作の新ライダーで、変身番号は「666」。

 

「(見た目が)ガタックみたいだなぁ」というのが率直な感想でしたが(笑)、デザイン自体はスーツの急造感もなくあの世界の新世代ライダーとしては納得のいく形で、むしろネクストファイズやネクストカイザより受け入れやすかったです。

 

予測AIを使った戦法なども面白さはありました。

北崎Ver.の変身シーンは何か違った見せ方をしようという工夫もよかったと思います。

 

でもやっぱり最後が雑。

 

■北崎望

オリジナルキャストである藤田玲 氏が演じての登場(思い出すのに時間がかかったw)。

TVシリーズにてラッキークローバーの一人だったあの北崎と同一人物のようですが本作ではスマートブレイン社長に。

しれっと初めてフルネームが明かされています。

 

その正体はオルフェノク・・・ではなく「アンドロイド」。

政府とスマートブレイン社が結託して製造したそうですが誕生について詳しい経緯やその異様な力については言及されず、「アンドロイドだから強い」程度の大雑把な扱い。

 

どっかの人造人間みたいに、これまでに集めた戦闘データを反映させたみたいな理由付けもなく、それどころかアンドロイド設定というのが草加を再登場させる口実でしかないような気さえします。実際そうなんじゃないか

 

製造されたということはその上位者がいるはずで、政府もしくはスマートブレイン関係者だろうと思いますがやっぱり特に何の説明もなく、単にアンドロイドである彼がスマートブレイン社を掌握しているという構図に。

 

ところでまさか"スマートデバイス"で変身するから"アンドロイド"ってことじゃあるまいな・・・?(笑)

 

■海堂直也/スネークオルフェノク

「さすがに(おバカキャラを)盛りすぎじゃねぇ?」と思いました。

確かにTVシリーズ本編でも突拍子もない発言や行動、奇声など(笑)、掴みどころのないキャラとして描かれてはいましたが、ここまでじゃなかったような。

空気感の緩和のためにああなったのかなぁと邪推してしまう。モモタロス枠みたいな(笑)

 

音楽への未練はTVシリーズの時点で断ち切っているのでラーメン屋に転向?しているわけですが、これはなんか妙に似合ってましたねw

 

とはいえ真理のオルフェノク化をいちはやく受け止めて、暴走する彼女をなだめようとする姿はかの海堂らしさが現れていて素直にカッコよかったです。

 

■サブキャラクターたち

啓太郎の甥という条太郎、デルタに変身できるヒサオ、ゲッコーオルフェノクのコウタ、クイナオルフェノクのケイ、そして新スマートレディ。

 

スマートレディは媚びっ媚びに全振りされており、TVシリーズ版の冷たい一面を併せ持つミステリアスなあの感じが出せていないのがもったいなかったですね。

扱いもほぼコールセンターだし。

 

デルタの処理の仕方が雑なのは言うまでもないとして、ある意味最もゾッとしたのがケイ。

 

まずはヒサオの死後、コウタとの会話で「ワシらの子供に"ヒサオ"と名付けよう」と語るサイコパス溢れる一面を覗かせたかと思えば。

 

コウタのことがあった後でのラストシーンの談話の中で、目の前で巧と真理のイチャラブを見せつけられてちょっとかわいそうに・・・と思った矢先に「ワシも新しい彼氏探そ♪」て。

 

女性の方が未練を残さず割り切りが早いとは言いますが、あれじゃあまりにもコウタが気の毒で最後の最後で血の気が引きました(笑)。

(ん~~、まぁ中盤襲われた原因もコウタにあるのですが。)

 

ほかにはラーメン屋の客として一瞬だけ、TVシリーズ当時ファイズのスーツアクターだった高岩氏が映ったのは嬉しかったですね。(本作でファイズのスーツアクターは別の方が担当)

 

■仮面ライダーファイズ

トップガンマーヴェリックしかり、ガンダムSEEDFREEDOMしかり、「旧式の登場で新型を倒す」という展開はやはり鉄板ネタですね。

気持ちスローにしてファンに噛みしめさせるように変身シーンをじっくり見せ、さらに駄目押しに「Justiφ's」も流れ、ここは素直に燃えました。

 

欲を言えば啓太郎その人が現れて巧にファイズドライバーを託すという方がより感極まったと思いますが、こればっかりは仕方がない(引退されている模様)。

条太郎には悪いですがねw

 

ここまではよかったんですが、最後の最後でせっかくのクリムゾンスマッシュなのにボス2体を縦列に並べてまとめて処理というのがまぁ~~雑というか、「もう尺ないんで!!」というのが思いっきり現れていたのが非常にもったいない。

 

「こうすれば燃えるでしょ?」という色気を出し過ぎてしまっていたかもしれない。

 

■最後に

・・・とまぁ長々と書いてしまいましたね。

こんなん書くのも珍しいなと我ながら思いました(笑)

 

奇しくも同時期に劇場公開され、同じく20周年を迎えた『ガンダムSEED』とは対極になってしまったなぁというのが個人的に悔やまれます。

 

いやまぁ『SEED FREEDOM』も端から端まで不満ナシ!というわけではありませんが(笑)

まとめ方や見せ方はあちらのほうが良かったな、と思いました。

 

言うまでもなく、初見で本作を見てもまったく楽しめないと思います。

あれ誰これ誰これどういうこと誰と誰の区別がつかない・・・といううちに終わってしまうでしょう。

あきらかに当時のファンに向けた作りになっています。それ自体は良いんですが。

 

かといってそのTVシリーズを通った身の私ですら、「555ってこんなに面白くなかった?」と思わされるほどには・・・(苦)

 

むしろ劇場で見てしまった方が、場の空気に流されてなんとかなったのかもしれない。

さらには10年前にさっさと済ませてくれてればもう少し違ったかも。

 

結果、なかったことにしたくなってしまった。せめてパラレル扱いでいてくれとw

こんな夢なら見たくなかった。

 

聞いたところによれば、最初のシナリオを受けて半田氏をはじめとする役者陣の方から待ったがかかり、脚本の修正をかけてこのように仕上がったそうです。

でなければもっと・・・だったのか、むしろ逆効果だったのかは、もはやわかりません。

 

やはりライダー系はどうにも周年記念作を作る度に蛇足感が残り、気持ちよく終われないというか、製作側からしても「君らもさっさと卒業せい」というメッセージがこもってるのかなぁと思ってしまうw

 

今年はブレイド、次は響鬼、その次はカブト・・・そして電王、キバと次々と20周年、平成2期勢は10周年を迎えていくわけですが、闇雲に映像化すればいいわけではないということか・・・映画の客演がいい落としどころでしょうかね。

 

いやでも『忍者戦隊カクレンジャー 中年奮闘編』は結構楽しみなんですよ(笑)

 

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