騒ぎすぎていないか 『平成』――”新人類”から一言
長きに渡った昭和が終わり、平成元年となった。それに伴って、硬貨や切符などに使われていた昭和の文字は平成に変わる。しかし、ただそれだけのことではなかろうか。
津々浦々そのことでもちきりとなり、新時代の幕開けだ、などと言っているが、特にそれによって何が変わるというのだろうか。
かつて主権が国民のものでなかったころだと変化は大きいと思うが、現在、日本は民主主義の国だ。新元号になり、天皇陛下が変わったことにより、雰囲気的には変化したかもしれないが、実際、内面的には変化などそんなにないのではなかろうか。だから、そんなに大騒ぎすることもないと思う。
これは天皇批判ではない。むしろ、それについて必要以上に騒ぎ立てる人々に対する意見だ。マスコミのことを言っているのではない。
マスコミがそれらを取り合げるのは企業としてである。テレビや新聞は国営ではない。だから、国民が特別報道について批判し、マスコミに文句を言うのはどうかと思う。それによって危害を及ぼされたのなら別だが。
(初出「北海タイムス」平成元年1月23日号「ひろば」)
※追記:今になって考えてみると昭和の終わりは大きな出来事でしたが、当時はそこまで思っていなかったというより、変わってしまうことを認めたくなかったのかもしれません。この年の11月にはベルリンの壁も崩壊することになります。だから「80年代の終わり」=「近代の終わり」という見方もあるようです。