昔々私はもし余命宣告されたら自分には告知しないでほしいとよく周りに言っていました。

余命と言えば癌を意識しての発言だと思います。

死ぬ直前まで自分が病気だとは思わず何も知らずに死にたいと思っていました。

でもそれは癌という病気のことをよく知らなかったうえで言っていたことです。

直前まで元気でいられるはずはなく、自分の体に起きていることを嫌でも自覚して余命を意識するだろうと今は思います。

癌が死の病気だともそこまで思っていませんでした。

芸能人で癌になった人の記事を読んで案外助かるんだなと思ったり、

ネットに溢れる癌ステージ4でも助かる、

ステージ4は末期癌ではない、

そんな都合のいい情報だけ見ていました。


旦那はお姉さんが何と6人もいます。旦那はその末っ子です。

一番上のお姉さんは旦那に先立つこと半年ほど前に肺癌で亡くなりました。

そのお姉さんの旦那さんもお姉さんが亡くなる1年ほど前に膵臓癌で亡くなっています。

2番目のお姉さんは20年近く前に胃癌になり、当初は余命半年と言われていました。

でも時々入院したりはしているものの今でも元気です。

2番目のお姉さんの旦那さんもお姉さんが余命半年宣告から1年ほどで癌がわかり、あっという間に亡くなりました。

いずれもお姉さん達が癌とわかった時はまさか旦那さんまで癌になるとは思ってもいませんでした。

でも2人の旦那さんはお姉さん達より早く亡くなりました。

いずれも全員タバコを吸っていました。


5番目のお姉さんの旦那さんも肝臓癌で闘病5年ほどで40代半ばで亡くなりました。

その旦那さんはタバコは吸っていませんでした。

旦那の家族は本当に癌で亡くなる人が多いです。

旦那の家の家系図をまとめた時に旦那の叔父さん達も何人か肺癌で亡くなっていることがわかりました。

ここまで多いと何かあるのかと思ってしまいますが体質や遺伝なども関係あるのかもしれません。


当然旦那も肺癌のリスクがあることは意識していました。

タバコをやめないと肺癌になって苦しんで死ぬよと時々忠告してもいました。

でもお姉さん達が癌になってからも元気だった姿を見て、私は旦那の家族は元々体が丈夫で免疫力が高いから旦那が例え癌になっても大丈夫なんじゃないかとも思っていました。

旦那の肺癌がわかった2年前も時々不安に襲われながらもどこか大丈夫大丈夫と思っていました。

でも本当はその時から旦那の命のカウントダウンは始まっていたのです。


背中の痛みと腹痛で救急病院から検査を勧められておそらく癌だろうということがわかった時、旦那は病院から降りる階段で涙ぐんでいました。

私はショックよりも旦那は助かる、治る手段は必ずあると気持ちを強く持っていました。

だからどうして旦那はそんな弱気になるんだろうと思いました。

でも今、その時旦那はどんな気持ちだったんだろうと思います。

都合よく考える私と違って旦那は命の期限をはっきりと意識していたのです。


なぜその時旦那の気持ちに寄り添えなかったのか、後悔しても取り戻せません。


癌という病気は本当にいろんな情報が溢れています。

怪しい民間療法や、たまたま生きている人を見てそれが全ての人にあてはまると思ったり、まるで軽い病気のようにも思ってしまいます。

でも得体の知れない、どうして癌になったのかわからないこともある癌は本当はとても怖い病気です。

もちろん治療が奏功して元気に生きている人もたくさんいます。

でもそうではない人もきっとたくさんいるんだと思います。

前向きな情報はよいことですが、なってしまったらとても手強い相手だということをもっと知ることも必要だと思います。

そうすればタバコや、食生活を見直したり、癌にならない予防ももっと広まるのではないかと思います。