旦那は具合が悪いのに看護師のお姉さんと少し口論になった

内容は覚えていない

看護師のお姉さんは職業柄か少し厳しいところがある

私も普段は旦那とよく言い争いになることがあるが今は旦那を全て肯定したい

怒る旦那の肩を撫でて大丈夫よ、大丈夫だから心配しないでとなぐさめた

旦那は看護師のお姉さんには少し反抗するところがある

年も近いからだろう

誰よりもお世話になっているというのに

本当は甘えているんだろうか


面会の後3人で主治医の話を聞いた

やはりかなり厳しい状況だということはわかった

はっきりとは言わないが間質性肺炎が増悪していて、癌そのものも急激に大きくなっているようだ

よくわからないけどダブルで肺を塞いでいるのだ

だから酸素の数値も一向に上がらない

主治医はステロイドの量を少し増やすと話した

肺炎だけでもよくなれば望みはあるのかもしれない


旦那は延命措置はしたくないがもしも中途半端な時期に息を引き取ると取引先に迷惑をかけるからその時は人工呼吸器をつけてくれと言った

そして年度末を過ぎたら人工呼吸器は外してくれと言う

旦那の仕事は年度末が納期でそれを死守しないといけない

長年やってきた仕事だ

最後に迷惑をかけるなど旦那のプライドが許さないのだろう

私が躊躇した顔をすると、旦那は俺はそうやって生きてきたんだと涙を浮かべて訴えた

仕事に命をかけるなど馬鹿げていると人は思うだろう

でもそれは旦那の人生を否定することと同じだ

最後まで私は旦那を肯定したい


だが旦那のこの悲壮な決意はあっさりと否定された

看護師のお姉さんはそんな都合よくできないと言う

病院の看護師も当然同じことを言った

私ともう1人のお姉さんは仕事を理由に旦那を延命できると密かに期待していたのでそれは裏切られた