介護のセンターにも電話をしてどうすればよいか相談した
救急隊員にかかりつけの病院があることを告げるとそこに搬送してもらえるそうだ
旦那はサイレンを鳴らさないように言ってくれと言ったがそれはできないとのことだった
マンションの人に気づかれないように運んでほしいようだ
サイレンの音が近づきマンション前で消えた
救急車が到着した
簡単に入院の準備をした
救急隊員2人が靴のまま靴にカバーをかけて家に入った
大の男2人でも旦那を運ぶのは大変なんじゃないだろうか?
隊員2人は布を旦那の横に置き旦那の向きを変えると簡単に布にすっぽり入った
旦那の大きい体はコウノトリのように布に包まれて運ばれた
旦那は情けないなと思っているような表情で少し涙ぐみそうな顔をしていた
旦那の気持ちは痛いほどわかる
旦那は痩せていても力持ちでみんなの頼りになる存在だった
人を担ぐことはあっても担がれることなどないと思っていた
その旦那がまるで介護される年寄りのように運ばれていった
私も遅れて救急車に乗り込んだ
しばらく発車せずに車内で酸素などを測った
酸素は97から100の間でおそらく正常範囲だ
寝ていたので息苦しさはなかったからだと思う
病院に到着してホールディングと呼ばれる救急患者が待機する部屋に運ばれ、私は声をかけられるまで待合室で待った
旦那のお姉さん2人に連絡をした
最初の診察から一緒に話を聞いてくれたお姉さんだ
2人とも明日にでも会いに行く段取りをするとのこと
大げさかもしれないとも思ったけど私の父も肺癌で急変して翌日息を引き取った
だからありえないことではないと思ったので来た方がいいと思うと答えた
18時頃旦那から採血終わったけどどうなった?とショートメッセージが届いた
まだ私は呼ばれない
誰に聞けばいいかわからず待っていた
やっと呼ばれて日直の医師から肺炎だと告げられた
すぐに私は輸血のせいだと思った
2、3日ほど入院になると説明された
旦那は酸素マスクをしていた
治療してよくなればすぐ退院できるだろうと思った
入院手続きを待っていたが看護師からご主人本人でもいいと言われたので仕事もあるので19時過ぎに帰った
病院はターミナル駅からすぐなので食べるところはたくさんある
旦那にラーメン食べて帰ると言ったらふざけるなと恨めしそうに言われた
旦那は食べられないのにな
酸素マスクをつけたので息苦しさはなくなったと言っていた
おむつをつけられていた
そうなるよな、でもその方が安心だ
私も入院した時はおむつの時もあった
誰もがそうだから旦那が特別ではない
仕方ないこと
帰宅してから旦那に大丈夫かショートメッセージで聞いた
旦那から返信はなかった
後で知ったがいろいろ検査をしていた
その夜旦那は眠れなかったようだ
もっとそばにいればよかった
こんな仕事など断ればよかったんだ
運命を恨んだ