具体的なこの型の昔話の輪郭を叙述すると、

昔々貧しい愚直な男が、薪や松明、蔓などを売りに出たが売れ残り、此を龍宮の神に差し上げると言って海に投げ込むと、龍宮から使いが出て、御礼を言いたいからすぐに来てくれと、連れて行かれて歓待を受ける。そうして世にも珍しい土産物をもらって万福長者となった。これには浦島太郎のような時の経過の早さはなくあっても軽微なものである。

それよりも注意を引くことは、海に投げ入れた植物は売れ残りであるということ。にもかかわらず、きまって迎えの使者の口上は、ニルヤでは今丁度正月の松や薪が無く、この上ないお喜びで、是非とも案内をして来いとお使いに来ました、と。

そして、亀の背という手続きもなく、いとも無造作に海中の異郷に連れて行くのが普通である。

少なくとも日本本土の北の端から、南は奄美群島の村にかけて、何の価値もない植物類が、水の都では珍重されていたという話のみは、借り物でも付け加えでも無く、特に南海の島人達の観念に根ざしていたものと思われる。

それが何故なのかはまだ分からぬが、こういう事実だけは牢記する必要がある。

 

勉強がてらに、柳田国男の全集を簡単に要約してブログに記す試みです。