これは快挙である。
昨日の朝刊の一面に、山本作兵衛の描いた「筑豊炭鉱画」が出ていた。
仕事がら、田川市がユネスコに推薦したとは聞いていたが、本当に登録されるとはたいへん喜ばしいことである。
実は、田川市の炭鉱関連資産(煙突・竪坑櫓など)は一昨年、「九州・山口の近代化産業遺産群」の構成資産から除外されることになったため、地元の方は非常につらい思いをされたことであろうと危惧していた。その理由は、資産の保存状況があまり良くなかったからである。ただ専門家によれば、世界遺産への道は閉ざされても、ほかに世界に訴えかけられる資料があるとのことであった。それが山本作兵衛の「筑豊炭鉱画」にほかならない。
今回「炭坑画」が登録されたのは「メモリー・オブ・ザ・ワールド」というもので、日本では世界記憶遺産と呼ばれている。日本政府がつい最近、藤原道長「御堂関白記」と支倉常長「慶長遣欧使節関係資料」の国宝2件を推薦すると発表したばかりであるだけに、山本作兵衛という一般的にはほとんど知られていなかった人物の資料が登録されたことは非常に意義のあることだ。
つまり、政府が国宝級の物件を「上から」しかけるケースと、自治体が未指定文化財を「下から」しかけるケースとでは、意味合いがまったくことなるのである。
ただ懸念されるのは、地元ではこれによって観光客が増えるとの安直な期待が高まることである。しかし、山本の作品はけっしてきれいな世界を描いたものではなく、人間の喜怒哀楽、酸いも甘いも両面から記録したものである。よって、「観光」とひとくちにいっても、鑑賞する内容・質がテーマパークなどとはまったく異なるということをきちんと分別してほしいと僕は考える。
ともあれ、この資料が近代化産業遺産の代表例となることはまちがいない。
昨日の朝刊の一面に、山本作兵衛の描いた「筑豊炭鉱画」が出ていた。
仕事がら、田川市がユネスコに推薦したとは聞いていたが、本当に登録されるとはたいへん喜ばしいことである。
実は、田川市の炭鉱関連資産(煙突・竪坑櫓など)は一昨年、「九州・山口の近代化産業遺産群」の構成資産から除外されることになったため、地元の方は非常につらい思いをされたことであろうと危惧していた。その理由は、資産の保存状況があまり良くなかったからである。ただ専門家によれば、世界遺産への道は閉ざされても、ほかに世界に訴えかけられる資料があるとのことであった。それが山本作兵衛の「筑豊炭鉱画」にほかならない。
今回「炭坑画」が登録されたのは「メモリー・オブ・ザ・ワールド」というもので、日本では世界記憶遺産と呼ばれている。日本政府がつい最近、藤原道長「御堂関白記」と支倉常長「慶長遣欧使節関係資料」の国宝2件を推薦すると発表したばかりであるだけに、山本作兵衛という一般的にはほとんど知られていなかった人物の資料が登録されたことは非常に意義のあることだ。
つまり、政府が国宝級の物件を「上から」しかけるケースと、自治体が未指定文化財を「下から」しかけるケースとでは、意味合いがまったくことなるのである。
ただ懸念されるのは、地元ではこれによって観光客が増えるとの安直な期待が高まることである。しかし、山本の作品はけっしてきれいな世界を描いたものではなく、人間の喜怒哀楽、酸いも甘いも両面から記録したものである。よって、「観光」とひとくちにいっても、鑑賞する内容・質がテーマパークなどとはまったく異なるということをきちんと分別してほしいと僕は考える。
ともあれ、この資料が近代化産業遺産の代表例となることはまちがいない。