われわれの「九州・山口の近代化産業遺産群」の世界遺産登録推進作業においては、「シリアル・ノミネーション」という難しい英語が飛びかっている。


「serial」は「連続する」という意味、「nomination」は「指名・推薦」などの意味をもつ英単語である。

要するに、「複数の資産を連続させた形で提案する」というものである。


このやり方は、なかなかバランスのとり方が難しい。

過不足なく資産を取捨選択するのは容易な作業ではないのだ。

今後、どのような資産構成で世界遺産委員会に提出する資料を作成すべきか、しばらく論議が続きそうだ。


とはいえ、われわれは、世界遺産の称号を獲得することだけを目的としているのではない。

観光産業に寄与するという面もあるが、あくまでも第一の目的は、重要な文化財の消失を防ぐためである。

そのことだけは、ぜったいに最後までぶれないようにしなければならない。