うれしいニュースが飛び込んできた。

2000年からの発掘調査により、萩市内の郡司鋳造所跡から出土した遺物が、一括で山口県有形文化財(考古資料)に指定される運びとなった。昨日、今日と新聞各紙、テレビなどで報じられたものだが、山口県の文化財保護審議会がこれらを文化財に指定するように答申したと言う。近々、正式に指定が決まったという発表があるそうだ。

なかでも注目される出土品が、内径60センチほどもある巨大な洋式大砲の鋳型だ。3メートルをゆうに超すような長大なカノン砲を鋳込むために使用されたと考えられているもので、江戸時代の日本で大砲づくりに使用された鋳型は、佐賀の反射炉以外に、僕は例を聞いたことがない。そうした意味で、たいへん希少性の高い資料であると言える。

これらの鋳型は今、わが博物館にて常設展示中である。すなわち、山口県埋蔵文化財センターのご好意により、貸し出しを受けて常設展示させてもらっているのだ。

なお、郡司鋳造所跡の出土品や郡司家文書などを中心にすえた展覧会を、2年ほど前に行った。その概要は、下記アドレスのとおりである。

http://www.city.hagi.yamaguchi.jp/hagihaku/event/bakucho/index.htm

また最近、大砲鋳造にまつわる論文も発表した。その概要は下記アドレスのとおりである。

http://hagiishin.exblog.jp/7377251/

それにしてもだ。今さら悔やんでも仕方ないが、郡司鋳造所跡を現地で保存できていれば、今やたいへんな史跡になっていたはずなのに…。