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今回からは数回に分けまして

國體の本義」について書きます。



広辞苑には


【国体の本義】 こくたいのほんぎ


1937年文部省が発行した国民教化のための出版物。

記紀神話のもとづき国体の尊厳、天皇への絶対服従を説き、

社会主義・共産主義・民主主義・個人主義・自由主義を排撃。



こう書かれてあります。



神道指令


「國體の本義」、「臣民の道」乃至同種類の官発行の書籍論評、

評釈乃至神道に關する訓令等の領布は

之を禁止する



とされたものです。





今回はこの「國體の本義」の


第二 國史に於ける國體の顕現

〔二〕 國土と國民生活

國土



これを引用させて頂きます。





國土




我が國土は、

語事(かたりごと)によれば

伊弉諾ノ尊・伊弉冉ノ尊ニ尊の生み給うたものであつて、

我等と同胞の關係にある。

我等が國土・草木を愛するのは、

かかる同胞的親和の念からである。


卽ち我が國民の國土愛は、

神代よりの一體の關係に基づくものであつて、

國土は國民と生命を同じうし、

我が國の道に育まれて益々豊かに萬物を養ひ、

共に大君に仕へ奉るのである。



かくて國土は、

國民の生命を育て、

國民の生活を維持進展せしめ、

その精神を養ふ上に缺くべからざるものであつて、

國土・風土と國民との親しく深き關係は、

よく我が國柄を現してをり、

到るところに國史にその跡を見ることが出來る。




遠き祖先よりの語り伝へが、

我が國性を示し、

天皇御統治の大本を明らかにするものとして、

撰録せられて古事記となり、

編纂せられて日本書紀となつたが、

これに伴つて風土記の撰進を命ぜられたのは、

我が國體と國土との深い關係を物語るものである。

ここに「古事」と「風土」との分つことの出来ない深い關係を見る。

我が國の語事に於ては、

國土と國民とが同胞であることが物語られている。

我が國民の國土に親しみ、

國土と一になる心は非常に強いのであつて、

農業に従ふ人々が、季節の変化に応和し、

随順する姿はよくこれを示してゐる。

それは祭祀を中心とする年中行事を始め、

衣食住の生活様式の上にまで行き亙つてゐる。




萬葉集に見える

「吉野宮に幸せる時、柿本朝臣人麿の作れる歌」に、


やすみしし 我が大君(おほきみ) 神(かむ)ながら 神さびせすと 

吉野川 たぎつ河内(かふち)に 高殿を 高しりまして 登り立ち

國見をすれば 疊(たたな)はる 青垣山 山祇(やまつみ)の

奉(まつ)る御調(みつぎ)と 春べは 花かざしもち

秋立てば 黄葉(もみじ)かざせり ゆきそふ 川の神も

大御食(おほみけ)に 仕へ奉ると 上つ瀬に 鵜川(うがわ)を立て

下つ瀬に 小網(さで)さし渡し 山川も

依りてつかふる 神の御代かも




反歌


山川もよりてつかふる神ながらたぎつ河内に船出せすかも




とある。

この歌を誦む者は、我が國民の國土・自然を見る心を知ることが出來るであらう。

卽ち國民も國土も一になつて天皇に仕へまつるのである。

國民はかかる心を以て國土・自然と親しみ、その中に生活し、

又それによつて産業を營むのである。

これ固より神代に於て天ツ神が

我等と國土とを同胞として生み給うたところから出づるのである。






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