嚢胞性ヒグローマ。
 
私の息子がそう診断されたのは、確か11週のときでした。
 
私は即座にその病気をネットで調べました。が、その情報量の少なさに驚きました。それだけ珍しい病気なのかもしれません。
 
だから、ここに嚢胞性ヒグローマと診断された胎児の一つの症例として息子を紹介していきたいと思います。
 
嚢胞性ヒグローマと赤ちゃんが診断されたお母さんは、さぞかし驚かれ目の前が真っ暗になったことでしょう。私も診断されたときは、それはもうわんわん泣いたし、絶望したし、辛くて悲しくて「何がいけなかったのか」「赤ちゃんごめんね」の繰り返し。
 
だってネットの体験談によれば嚢胞性ヒグローマと診断された子のほとんどが、20週を前にして胎内で死亡しているか中期中絶になる前に中絶を選択されているかのどちらかだったから。
 
それってもう健常に生まれてくる望みがかなり薄いってことでしょ?健常にっていうか生まれてくる可能性もほとんどないってことでしょ?
 
 
もうこの情報を見た瞬間、私はほとんどお腹の子を諦めていました。
 
ただ、実際に産婦人科で有名な国立病院の先生に嚢胞性ヒグローマについて聞いてみたところ、
 
「嚢胞性ヒグローマと診断されても無事に生まれてくる子はたくさんいるよ。」
 
とのことだったんです。
 
「ただ染色体異常の可能性が普通よりも高くなるから、羊水検査の案内もさせていただきますね。」
 
とも言われましたけど。
 
「ただ羊水検査は強制ではありません。リスクもある。もっと赤ちゃんの様子を見て染色体異常の子によく出る特徴がこの子にも出ているかどうかを見て、当てはまってくるようだったら受けて、当てはまらないようだったら受けないということでもいい。」
 
羊水検査ができるようになるまでまだ1か月程度あり、その間赤ちゃんを週に1度じっくりと診て染色体異常の子によく出る特徴がこの子にも出てきているか診て貰うことになりました。
 
個人の産婦人科って、妊婦検診の際のエコー検査ってものの数分ですよね。でも国立病院だからかこの子に嚢胞性ヒグローマが確認されているからか(それともその病院が産科が有名な病院だからか)、その病院でのエコー検査は毎回20分程度かけてじっくり行われます。機材も個人の産婦人科とは違い色々な機材が備わっていました。
 
鼻骨の有無や血流、胃の大きさ、骨、指の骨がキレイに整っているか、心臓の動きや、脳。いろいろな部分をじっくりと観察してもらいました。
 
その結果、羊水検査ができる時期には
 
「羊水検査をしない限り確かなことは言えないけど、今のところ染色体異常の可能性がとても低いと思うよ。」
 
と言われました。嚢胞性ヒグローマも少しずつ小さくなっていて、赤ちゃんも元気であると言われました。
 
私は主人とたくさん話し合った結果、羊水検査をしないことにしました。私はこの子を身ごもる半年ほど前に一度流産をしており、私も主人ももうこれ以上自分達の子どもを亡くしたくはないという気持ちが強かったのです。
 
もう生まれてくることさえできないだろうと思っていた命。でも胎内で赤ちゃんはとっても頑張ってくれている。病気も押しのけて成長してくれている。染色体異常があったにしても、私たちはこの子を中絶することなんてできない。羊水検査はしないと決断しました。
 
・・・なんてかっこよく言ってしまいましたが、正直染色体異常の可能性が高いと言われていても同じ答えを出せたかというとそれは分かりません。やっぱり障害児を育てるというのは想像以上に大変で過酷なことだと思うので。染色体異常の可能性が低いと言われて、それなら羊水検査で赤ちゃんが流れてしまう可能性のほうがまだ高いのではないかと思え、それならばと羊水検査をしなかったというのもあります。
 
 
赤ちゃんはお腹の中ですくすくと育っていきました。そして無事出産。生まれてきたのは健康な男の子でした。体重は2500g程度と小さめでしたが私の体格が小柄だったことと、不育症の疑いがあったことが原因しているのだと思います。
 
 
嚢胞性ヒグローマと聞いて絶望したお母さん。こんなケースもあるんですよ。そして先生から言わせたら「これは全然稀なケースではないですよ」ということ。
 
私のように、赤ちゃんに嚢胞性ヒグローマが見つかって、「様子を見ていきましょう。」と言われたお母さん。絶望しないで。嚢胞性ヒグローマは「絶対に生まれてこれない」病気ではありません。
 
あと嚢胞性ヒグローマと言われたら胎児ドックもやっているような大きな病院で診て貰うことをオススメします。嚢胞性ヒグローマは珍しい病気と言われますが、大きい病院ではそのような病気を指摘されたお母さんがたくさんいます。そのため症例もたくさん診てきているはずです。嚢胞性ヒグローマについて、ネットよりも多くて確かな情報をくれると思いますよ。