手を動かすこと | shingo722のブログ

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 「手を動かすこと」
 
 もう何時間原稿用紙に向かい思いの丈を書き殴っているのか分からなかった。原稿用紙の升目を手書きのボールペンで埋めている人間が一体あとどのぐらい世界にいるのだろう。それはともかくとして、僕は物語というよりは思いの丈を、書くではく書き殴っていた。
 何度目かの文学賞落選の通知を受け取ったとき、才能がない事を認めざるを得なかったし、折れそうな心を繋ぎ止めるのに必死だった。しかし、僕は30歳を越えてはいたが、全てに絶望するにはまだ若すぎた。僕は自宅のポストから机に直行すると、その忌々しい通知をゴミ箱へと破り捨てた。そして諦めようとする心より素早く、思考を止めようとする頭を無理矢理に手を動かすことで繋ぎ止めた。あと、ひと段落、一文、一文字でも先へ、手を動かすことで己を繋ぎ止めた。その先にある何かを信じ続けて。