安灯り | shingo722のブログ

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 「安灯り」
 
 死という言葉は糖蜜のように甘美に響いた。
「一緒に死んでくれる?」
 そう言った彼女はラブホテルの明かりの下ではいつもよりやつれて見えて、さながら僕たちは糖蜜に惹き寄せられる蜜蜂よりは、電灯に群がる蛾に近かった。
「いいよ」
 と答えた時には僕の心は冷め切っていた。
 一層のこと、この女だけ絞め殺してしまおうか。シャワーの音を聞きながらそんな事を考えたが、足がつきそうなので止めた。ある意味では2人は死ぬときは一緒なのだ。
「最後にどこか旅行にでも行きましょうよ」
 そう嬉しそうに喋る女の果たされることのない計画を枕元で聞きながら、安灯りの下で死ぬのが自分のような虫には似合いなのかも知れない、そんな事を考えていた。