「夜明け前の薄明かり」
 
 ふと読んでいた本を閉じて顔を上げると、窓の外には夜明け前の薄明かりが広がっていた。まだ太陽が地平線から顔を出す前の、そのぼんやりとした明かりに照らされて、世界が朝を迎える準備を始める。まだ目覚め切っていない虫たちが、もぞもぞと土の中から顔を出し、鳥たちはそろそろと羽ばたく準備を始める。やれやれ、もう寝なくちゃな。そう思いながらも、その新しい予感に満ちた景色を眺め続けている。飽きもせずに。やがて僕はゆっくりと寝支度をして布団に潜り込む。昨日の物語の余韻と、すでに始まりかけている一日への、淡い期待を抱いて。