誤った判断は「資金使途違反」になるかも?

 

 

 

銀行からの融資は中小企業にとっては

資金繰りはもちろん会社の経営のにとっての命綱です。

 

 

経営者は少しでも会社の業績を上げ

銀行評価を高めるための決算書を作成したり、

融資の種類を学んだりして

 

会社にとって少しでも有利な融資を引けるように

いろいろな策を講じますよね。

 

 

もちろん目的は融資をもらうことではなく

そのお金を使って会社の発展と継続のためです。

 

 

ただこの目的を間違えてしまう経営者がいるのも事実。

 

目的を間違えた結果、

誤った判断基準が間違った行動につながることがあります。

 

行き着く先は「資金使途違反」。

これに該当してしまうと、

銀行から借りたお金を全額一括で返済しなければいけなくなるどころか

 

その銀行からは今後融資を受けることができなくなります。

 

悪質な場合は詐欺に該当して刑事告訴されることもあるようです。

 

 

 

融資の種類は大きく分けて2種類。

 

 

運転資金のための融資と

設備投資のための融資です。

 

 

以前にも書いたように

運転資金は、入金と支払いのタイミングのズレによる

キャッシュフローの穴を埋めて会社の取引循環を成立させるために

銀行から融資を受けるものです。

 

そのため決算書や試算表をもとに必要金額が算定され、

必要な運転資金の貸付を受けることになります。

 

ここで起こり得る資金使途違反は下記の2つ。

 

・運転資金として借りたお金を、既存の借入金の返済に充ててしまった。

・運転資金を「投資」の運用に充ててしまった。

 

この2つのパターンが非常に多いようです。

借入金の返済にしても投資にしても、

それぞれ売上と利益からお金を出していくもので、

融資されたお金が使われることを銀行は想定していません。

 

そのためこれらの使い道に運転資金融資が使われたとなると

銀行から資金使途違反を指摘される可能性があります。

 

 

設備投資の融資は、

固定資産の購入など大きな金額が必要な場合に、

その購入に必要な金額だけを借り入れるための融資です。

 

運転資金の融資よりも金額が大きくなることが多く、

また返済期間なども長く取られることが多いです。

設備投資の融資は考え方として、購入した固定資産から産まれる利益が返済原資としてみなされます。

 

そして設備投資の特色として

・固定資産の導入に際して借り入れるものであるため、

融資を受けてから設備を購入することを求められることがある。

 

・金額が大きいため、設備導入に係る見積もりなどの提出を求められることがある。

→そしてその見積もり金額に応じた融資を受ける。

 

このように運転資金融資よりも自由度が低い、というのが設備投資融資の特色です。

 

 

さてこの設備投資融資における資金使途違反で起こりうるのは下記のパターンです。

 

・融資実行前に購入先に代金を支払ってしまった。

・割引で当初の購入金額よりも安く購入できたため、その差額を運転資金に充ててしまった。

・購入先と結託し多めの金額で見積もりを作成してもらい、

その差額をキックバックしたり運転資金に充ててしまった。

 

 

これらは実際に銀行に資金使途違反として指摘され、

全額一括返済を求められた事例です。

 

 

融資が実行される前に代金を支払ってしまったのはミスのような感じもありますが

手順に関しては銀行からしっかりと説明もあるはずなので

その手順を無視したとなると銀行の逆鱗に触れてもおかしくないですね。

 

その他の事例に関しては悪意があると認定されやすいパターンです。

 

設備は実際に買ってしまっているので

銀行に返済を求められて一気に経営状況が悪化してしまい、

結果として破産となってしまった事例でした。

 

 

このように、軽い気持ちで融資されたお金を取り扱うと

取り返しのつかない事態に発展することがあります。

 

 

くれぐれも融資の使い道には気をつけるようにしてください。