必ずしも親族・従業員への承継が正解ではない!
以前から書いているように、
中小企業の出口戦略は大きく分けて5つ。
①親族への承継
②従業員への承継
③精算・廃業
④上場
⑤M&A
今日はこのうち⑤のM&Aについてです。
そもそも昨今の日本では
中小企業の経営者の高齢化も課題となっていて
後継者の不足も相まって事業承継に関する課題が多く発生しています。
実際に、約10年前の中小企業庁の試算によると
「中小企業・小規模事業者の事業承継問題が解決できなければ、廃業などの増加によって、
2025年頃までの10年間累計で約650万人の雇用と約22兆円の国内総生産(GDP)を失う可能性がある」
という試算が出されており、
この課題に対して、国としても事業承継税制だったり
中小M&Aガイドラインを策定したり、M&A支援機関登録制度を創設したりして
積極的にM&Aを活用した事業承継を後押ししています。
そして実際に2022年の中小企業のM&Aの件数は
4300件を超え、年々件数自体が増加しています。
売り手側にとっては
下記のように多くのメリットが存在します。
・会社の存続
・従業員の雇用
・創業者利益の確保
・将来的な事業の成長と発展
・事業の再生、健全化
もちろんリスクもあり
M&A後に、組織文化の違いや事業戦略面でのすれ違い、
顧客層の違いなど、課題が出てくる場合ももちろんあります。
ですが現在、多くの中小企業が自力で後継者を見つけられなかったり
事業承継対策の知識を得る機会がなかったり
また株価抑制の手法を選択肢にいれるとしても
そのための資金も必要だったりします。
長年順調に事業を発展させ、スケール出来てきた会社はその分選択肢も増えますが
多くの中小企業が赤字、という現実をみると
M&Aのメリットは強烈なインパクトがあると思います。
先程挙げたようなリスク、デメリットに対して
全都道府県に「事業承継・引継ぎ支援センター」を設立し対策をうっています。
これから先、今よりも更にM&Aが事業承継の主流となると思います。
逆に言えば、後継者を見つけられる会社、経営者はかなりごく少数であり
ある意味では恵まれている、とも言えますね。