勤め先の旅館が改装工事に入ったため、1月後半は休みとなった。遅れ馳せの正月休みだ。村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」を読んでいる。第3部にはいった。飲み物としてとてもおもしろくわくわくしながら読んでいる。「人は島嶼にあらず」は牛河という登場人物(政治家の私的な秘書)のセリフだ。なるほどこういう人物は政治家の周辺にいそうだし必要とされるだろうし、給与を払うためには派閥のパーティー券を売ったキックバックが必要となるのだろうと妙に鮮やかに納得させられる。

 「人は島嶼にあらず」と胡散臭い男に言われる主人公をその情景を想起して思ったのだが、私には胡散臭いと言う言葉に親和性を感じるのだった。社会人として誠実な健康な男を演じ続けているのだが、休みになって胡散臭く陰気臭い私であることに安らぎと落着きを覚えるのだった。読み物はすきなのだった。