「ジャパンハンド(ハンドラー)」「ジャパノロジスト」は真実に触れない②【時事所感139】 | 多事争論(時事所感)

「ジャパンハンド(ハンドラー)」「ジャパノロジスト」は真実に触れない②【時事所感139】

何故日本の自主防衛や核保有論について本格的議論が進まないのか?

何故これらの議論が立ち消えてしまうのか?


前回の話の続きになります。


米国ホワイトハウス、米国国務省、米国C.I.A.と日本政府、与党自民党や野党の日本の自主防衛や核保有等に関する話や金銭授受についての米国側の記録や政府内部資料を元にした書籍の話です。

お話は伊藤貫氏です。




(以下、伊藤貫氏)


     「ALTERED STATES」


米国オックスフォード大学から1997年に出版された書籍で、日本では2004年に翻訳書籍『「日米関係とは何だったのか」占領期から冷戦終結後まで』が草思社から出版されています。出版後直ぐに絶版になっています。

タイトルでは占領期から冷戦終結後までとなっていますが、冷戦終結後についてはほんの数頁程度しか誌されていません。

終戦直後から米国ニクソン政権時代の対日政策についてが主で、日本の吉田茂首相から鳩山、石橋湛山、岸、池田、佐藤栄作首相の頃について書かれています。


著書はマイケル・シャラー氏(Michael Schaller)、米国アリゾナ大学の米国史が専門の方です。

彼は日本についての専門ではないから日本語が分からないので、この本を書く際の記録や資料は米国側のものです。米国ホワイトハウスN.S.C.(ナショナル・セキュリティ・カウンシル/米国国家安全保障会議)、米国国務省、米国C.I.A.等の内部資料や記録が殆どで全て米国側の資料になります。

つまり米国側の目から見る日本について書かれた内容なんです。



私はこの書籍が面白い(興味深い)と何故思うかというと、

この書籍の著者マイケル・シャラーは米国歴史学の学者で米国外交史の専門家であって、

日本担当の外交官や行政官僚、政治家ではないんです。

「ジャパンハンド」

(ジャパンハンドラー/利日派、対日飼い慣らし派)とか、

「ジャパノロジスト」

(知日派/日本研究者)とかではないんです。

つまり「ジャパンハンド」とか「ジャパノロジスト」ではないアウトサイダーだから本当の事を書くことが出来るんです。


「ジャパンハンド」や「ジャパノロジスト」は日本を永遠に米国の属国状態においておきたいから、本当の事を言いません。


日本の近隣周辺諸国の中国やロシアや北朝鮮が核兵器やミサイルを増産保有しているなかで、

米国の核の傘は実際には機能しないとは絶対に言いません。

ここ数年日本が米国に買わされ続けているミサイル防衛システムも中国やロシア、北朝鮮の核ミサイルには全然歯が立たないんです。

中国や北朝鮮が現在保有するミサイルは超高速飛行で、しかも飛行途中で軌道変更可能なため、このミサイル防衛システムを掻い潜る能力を備えています。

日本が米国から過去20年以上現在も購入させられているミサイル防衛システムは何の役にも立たないです。

現在のミサイル攻撃にたいして機能しないし役にも立たない時代遅れのミサイル防衛システムを日本はかなり高額な金額で米国に買わされ続けているんです。

この結果で米国の軍需産業が相当金儲けできただけで、100%無駄遣いなわけです。


「ジャパンハンド」や「ジャパノロジスト」は米国の核の傘が実質機能しない、核の傘は存在しないことも、

日本に高額で購入させているミサイル防衛システムも役に立たないことも話さない、話題にしたがりません。


すると、日本の大手メディアはこれらについて話題にしないんです。

「読賣」「産経」「日経」にしても記者や編集者は書かないんです。

米国のホワイトハウス、国務省、C.I.A.の日本担当官がこれを話題にして欲しくない、嫌がるからです。


この「ALTERED STATES」の著者マイケル・シャラー氏は日本の専門家でもなく、「ジャパンハンド」「ジャパノロジスト」でも米国の日本担当官でもないので露骨に書いているんです。


少し古い話に感じる方々もいらっしゃるかもしれませんが、戦後の吉田茂政権からの対米外交の姿勢、パターンが現在に至るまで殆ど何も変わっていない。

日本政府にしても外務省官僚にしても防衛省官僚にしても何も変わっていない。

国会議員にしても野党だけでなく与党自民党のことを言っているんです。総理大臣や防衛大臣のことを言っているんです。

彼らは考えようとはしないし、何も理解していないんです。


この原因がマイケル・シャラー氏のこの著書で判るんです。


原因の主に重要な点を3つお話します。


 ①「意図的な属国主義」


敗戦後、日本は米国占領軍の占領統治下の際、日本の政治家達は米国の属国になることを嫌がったかというと、

恐ろしいことに実は嫌がっていないんです。

日本政府、日本の政治家、日本の官僚達は意図的に意識的に属国状態を選んでいて、米国の属国になることを嫌がっていないんです。


戦後、米国の属国になることを嫌がったのは重光葵と石橋湛山の二人だけ。


吉田茂政権から鳩山、岸、池田、佐藤栄作、その後の中曽根、宮沢、橋本、小泉と皆、米国の属国状態に嫌がっていないんです。米国の属国状態を積極的に受け入れる、日本は二度と米国からの独立はしないという態度、意思を示した内閣は長期政権を維持することが出来たのは皆さんご存知の通りです。


東京に勤務する米国国務省、米国C.I.A.の官僚達、日本担当官は、重光葵や石橋湛山を如何に嫌っていて如何に意地悪だったかがよく分かるんです。


著者は米国側の英文資料だけ、つまり米国側の視点で米国側からの重光葵や石橋湛山への評価を書いているので、

米国への属国状態に反対し日本の実質的独立を言って米国政府に反抗する重光葵や石橋湛山をこの著書のなかで批評しているんです。


私(伊藤)から石橋湛山や重光葵についての話をすると、

石橋や重光は戦争中に大日本帝国の軍部に対して中国大陸への侵攻に反対しているんです。

戦後は米国占領軍の占領統治政策に真っ向から反対して対抗しているんです。

戦中には軍部の政策に対立抵抗して、戦後には占領軍の政策に反対批判して、

(その時代の主流派や権力組織に)それは最初から負けるのは目に見えている。

それでも「いけないことはいけない」「駄目なものは駄目」と反対意見を言う。

重光さんは外交官、石橋さんは東洋経済主筆、外交官とジャーナリスト二人だけで言っても負けるに決まっているんです。

戦中の日本の軍部に、敗戦後は米国の占領軍に、

「間違いは間違い」と言う、どれほど相手が強大な権力者や組織であっても言うべきことは言う。そういう性格、姿勢の人物だったんです。


日本人では特に珍しいんです。

相手組織に間違いは間違いだと真っ正面から言う。

戦後の米国占領軍に徹底的に叩きのめされて、それでも言うべきことは言う。

そんな姿勢を貫き通せる人は何十万人に一人いるかいないかでしょう。

  

(続)