米露関係破綻原因の解説・・・②伊藤貫氏【時事所感123】 | 多事争論(時事所感)

米露関係破綻原因の解説・・・②伊藤貫氏【時事所感123】

前回の続きとなります。

米国ワシントンD.C.在住の国際政治専門の金融アナリスト伊藤貫氏の話です。


・「過去30年間の米国の対ロシア(締め付け)政策」


クリントン政権時代、米国政府クリントン政権は主に3つの対ロシア政策を行っています。

①ロシア国有金融機関(ロシア国有金融資産)の急速な民営化改革


②NATO(東側/ロシア側)拡大

③バルカン半島への米国軍事介入


前回からの①続きになります。

※この伊藤氏の話はロシアのウクライナ侵攻直後に話されたものです。




   ーーー以下、伊藤貫氏の話ーーー


(伊藤貫氏)

米国ウェルズリー大学のマーシャル・ゴールドマン(ロシア専門家)、

この方ユダヤ人なんですが、 こう記しています。

「このロシアの金融改革政策によってオリガーキー(オリガルヒ)と呼ばれる人達は巨万の富を得るようになった。これらのオリガーキーの殆どはユダヤ人だった。

その結果、多くのロシアの人々はユダヤ人を憎むようになった。」


プーチンが首相に就任する前のエリツィン政権時代首相だったプリマコフは以下のように述べています。


「エリツィン政権時代に実質的権力者でエリツィンを操っていたオリガーキー(オリガルヒ)の人達が、

実際には政策を決めていた。」

(ベレゾフスキー、グシンスキー、ホドルコフスキー、フリードマン、アブラモビッチ、)





(伊藤貫氏)

ロシアがウクライナに軍事侵攻して、米国をはじめ西側諸国がロシアに対して厳しい金融制裁を始め出したなかで、奇妙な点に気が付きました。


まず、先進国、西側諸国がロシアに対して金融制裁をするなか、

イスラエルだけは、例の通り例の如く一切金融制裁をしていません。

ミカエル・フリードマン、ローマン・アブラモビッチらのユダヤ系オリガーキーは、金融資産や財産をイスラエルへ持ち出しているそうです。

私が気付いたのは最近米国ワシントンポスト紙に載った記事でして、

米国の各銀行や各保険や金融業者の運用資産が総額約22兆ドルあって、今回の対ロシア金融制裁に参加している。ロシアと一切取引出来ません。

ところが他方で、資産が約11兆ドル有るヘッジファンドとか「プライベート・エクイティファンド」金融業者の情報開示についての記事でした。

これらの経営者の多くはユダヤ系やユダヤ人なんですが、

これらのプライベート・エクイティ・ファンドは、

米国政府、財務省、国税局に金融資産や運用資産情報を報告する、届け出る義務が無いんです。

政府や担当局、役所に情報開示しなくていい。

一般の銀行等の金融機関は報告が義務付けられているのに、

約11兆ドルもの金融資産を管理しているヘッジファンドやプライベート・エクイティファンド業者は、

どこからお金が入りどこへお金を動かし流しているかを一切開示報告する義務が無いんです。


こうなると話は簡単です。

ロシアの金持ちや政府は何を考えるか。


イスラエルを通じてお金の出し入れが出来るので、

ロシアとイスラエル間、イスラエルと米国プライベート・エクイティファンド業者間でお金の流通が可能なので、

ロシアの金持ちやもしかしたらロシア政府とかも金融制裁から逃れることが可能なわけです。



不思議な点、

ひとつはアメリカ政府。米国政府は知っていながらこれを何もしない。

もう一つはウクライナ。ウクライナのゼレンスキー大統領。彼は米国政府に対して、「彼らロシアのオリガーキー(オリガルヒ)については厳しい制裁処罰をしないで欲しい」と頼んでいるそうなんです。


戦争状態の相手ロシアに対して敵に塩を送るようなことをしているわけです。


米国政府も世界各国に対ロシア制裁を促しておきながら、政府の目の前で金融制裁の抜け穴があるわけです。

言っていることとやっていることが違うわけです。

これ程までにエリツィン政権以降の腐敗が現在までも続いてきていて、米国バイデン政権もこれに関与しているわけです。




話を戻します。


米国ハーバード大学のリチャード・パイプス(ロシア専門家)氏は

「エリツィン政権後、ロシア国民は米国の民主主義制度をどう思うかについては、米国民主主義制度を支持するロシア国民は約1割になってしまった。」


「米国の民主主義制度は一部の金持ちだけが得する腐敗した制度だと感じている。」


「ロシアの長い歴史にある皇帝や権威的君主の政治体制のほうが遙かにマシ、フェアだと思うようになった。」


「エリツィン政権はロシアにとって真の政権だと思っているロシア国民は全体の12%しかいない。」

つまり、殆どのロシア国民はエリツィン政権を米国とイスラエルによる傀儡政権にすぎないと感じていること、


「このエリツィン政権と米国によって、多くのロシア国民が最も憎む国家として米国を憎むようになった。」


この米国クリントン政権の8年間の対ロシア政策によって、

ロシアの多額の国有資産が吸い取られ、

政権が腐敗悪化して、ロシア国内経済が悪化して、

ロシア国民の大多数が極貧窮乏状態に追い込まれた。

これらのクリントン政権の行為によって、米露関係は決定的な程崩壊してしまったわけです。


皆さんご存じかと思います著名な学者、エマニュエル・トッド氏が2002年著書「帝国以後」のなかで、

米国政府の政策に関して主に二つに分けて説明しています。

・「米国政府の対ロシア政策には主に2つあり、

第1はCIAの活動によって、ロシア国内とロシア周辺地域のロシア(影響下)勢力圏の各民族の関係を悪化させて、ロシアをバラバラに崩壊すること。」

・「CIA工作によって、ヨーロッパ諸国とロシアの関係性を悪化させて、ヨーロッパ諸国とロシアで協力関係、良好な関係を構築不可能に仕向けること。」

トッド氏曰く、米国政府クリントン政権はこの2つの政策をCIAの活動によって行っていたそうです。







このクリントン政権の次の政権、ブッシュ(息子)政権になると、

米国政府は2003年中東地域のイラク国内へ米軍を侵攻させています。国際法違反で、しかも国連の承認無く、ロシアの反対を押し切って行っています。

これによって中東地域の支配権を作り始めようとしますが失敗しました。

これと同時に次に米国政府ブッシュ(子)政権は、グルジアとウクライナに積極的内政干渉を開始します。

「グルジアとウクライナに積極的に内政干渉を行い、活発に内政干渉することで、グルジア、ウクライナ両国がロシアと敵対する国家に作り変えようとした。」


ブッシュ(子)政権はグルジアとウクライナを早くNATOの加盟国に加えたいために、2008年に両国のNATO加盟の意思を宣言しました。


ブッシュ(父)政権時代には、当時のロシアのゴルバチョフ大統領、シュワルナゼ外相ら他高官らと十数回にわたって会う度に、「NATOを東側ロシア側へは拡大させない」と言って約束したにもかかわらず、

米国クリントン政権でこれら約束を破り、

ブッシュ(子)政権でもこの約束を破り、しかもロシアにとっては重要な致命的であるグルジアとウクライナをNATO軍事同盟に加盟させると宣言したわけです。

ロシア政府やロシアの人々からすれば、

クリントン政権時代に経済的に締め付けられて、

NATO拡大についても約束を破られて、

ブッシュ(子)政権になったら国際法違反のイラクへの軍事侵攻を起こして、

グルジアとウクライナをNATO軍事同盟に加盟を宣言して、グルジアとウクライナに米国軍を進めて米軍基地やミサイル施設を建設しようと着々と進めようとしたわけで、

これで経済的にも軍事的にもロシアを締め上げようとしているわけで、

ロシアはまたまた裏切られたと知るわけです。


米国オバマ政権時代になると、2010年親ロシア派のヤヌコヴィッチ政権が民主的選挙で誕生しましたが、

米国CIAはヤヌコヴィッチを失脚させるための工作を開始します。このための多額の工作資金をウクライナに送り込みます。

この多額の工作資金は米国国務省とCIAからウクライナへ送り込むだけでなく、

“National Endowment of Democracy”(以下N.E.D./「全米民主主義基金」)

この団体は、“nonprofit organization” “nonprofit govermental organization”の民間非営利団体です。

ロバート・パリというリサーチャーによると、

CIAの工作機関の一つとして活動していて、この団体にも工作資金が流れていたそうなんです。

このN.E.D.「全米民主主義基金団体」はウクライナ国内で60以上のプロジェクトを運用していて、

親ロシア派のヤヌコヴィッチ政権側内部に工作資金を使うことで、政権崩壊転覆を謀ることを行っていたそうです。

N.E.D.全米民主主義基金団体の会長カール・ガーシュマン氏によると、

「ウクライナは“the biggest prey”最大の獲物である」

「プーチン政権が倒れるのはそんなに遠い未来ではない時間の問題である」


彼は何を述べているのか、つまりウクライナの親ロシア派のヤヌコヴィッチ政権転覆だけではなく、

米国政府、米国国務省、CIAはロシアを崩壊させてプーチン政権を近い将来に倒すだろう、と述べています。


2010年以前から米国はこの状態ですから、

今年2022年にロシア・ウクライナがこういうことが起きても、

不思議でも何でもないわけです。





(続)