かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」 -42ページ目

官能小説「夕日に隠れて」八

松倉の舌は、僕が想像していた感覚を超え、



恥じらいの壁を超え、



幾分の余裕さえも含みつつ、巧みに僕の舌に絡みついてきた。



松倉は、幾度、他の男とこんなふうに濃厚に交わってきたのだろう。



時折、色づいた吐息を漏らしながら、



同い年である僕をリードするように、



時には甘く優しく、時には悪戯っぽく、時には男の魂を深く妖しい夢幻の霧の向こうに誘うように…



ああ…松倉……。



うねり、ぬめって自在に緩急をつけながら僕をそそのかす松倉に、僕は生まれて初めて女の魔肖を見る思いだった。



僕は知らず知らずのうちに目を閉じていたのだけど、



ふと、意味もなく、うっすらと目を開けて松倉の目を見るともなく見た。



松倉は、色っぽく目を細めながらも、その奥で、初めての経験に悶える僕の表情を観察しているような感じがあった。



一瞬、女の冷静さを見たような、僕のウブな魂が俎上に乗せられて嘲笑せられているような、



そんな感じが頭をよぎったが、



それでも次から次へと敷並を打って押し寄せるなめらかな快感に、



疑念はあっさりと彼方に流され、



僕の視界は、再び悦楽の霧に包まれて、ぼやけていった。



松倉は、僕の膝に置かれていた手を、ゆっくりと滑らせ、



僕の胸で手の位置をとめると、



僕をさらに扇情するように、僕の胸の突起を、指先で撫で始めた。



「ねえ…ここ、感じる…?」



息を漏らしながら、松倉は僕に聞いた。



僕は、そこに自分の性感のツボがあるとは思わなかったが、



松倉が僕を感じさせようとしている気持ちが嬉しい気がして、



夢うつつの中で、そこはかとなく頷(うなず)き、



「ああ…気持ちいいよ…。」



と、かすれた声で言った。



薄らいだ意識の片隅で、



松倉が、フフ…と、うっすらと笑みを浮かべているのを感じた。



欲情は高まり、



僕の体の奥底から、



松倉の体を触りたい…



その豊かな胸を、この手で包み込みたい…



白く、艶やかな、裸の女の脚の付け根に、指先を忍び込ませたい…



そんな気持ちが、頭をもたげてきた。



それは、きっと許されることだと、



受け入れられることだと…



「松倉……」



僕は、ともすると震えだしそうな手を、



ゆっくりと、まずは松倉の腰のあたりに当てた。