かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」 -118ページ目

私的 桃太郎伝説 10

ある日、桃太郎は晩ご飯を食べた後に、おじいさんとおばあさんに向かって自分の決意を述べました。



桃太郎は、ただ単に鬼に会いに行きたいだけだったのですが、そんな理由では二人とも納得してくれないような気がしていたので、悪い鬼を退治しに行くのだと、とりあえず言っておきました。



おじいさんとおばあさんは、最初に異口同音に「鬼退治ぃ!?」と驚きの声を発しただけで、あとはポカァンと口を開けて黙って桃太郎の話を聞いていました。



話を聞き終えると、おじいさんはまだポカァンとしていましたが、おばあさんは泣き出しました。



桃太郎が生まれた時は、いい年して子供を産んでしまうなんてと恥ずかしく思い、その存在を隠していきたいとさえ思っていましたが、ここまで育てる中で、おじいさんとおばあさんは桃太郎のことをちゃんとした息子として愛するようになっていました。



もちろん、村の悪い評判に胸を痛める時も多々あったし、これからの桃太郎の人生を考えて真っ暗な気持ちになったことも何度かありましたが、二人にとって大切な存在であることには変わりありませんでした。



「 どうしても行きたいのか? 」



おじいさんが桃太郎に問いかけます。



「 うん、どうしても行きたい。 」



答える桃太郎の目の奥に、強固な意志が潜んでいるのをおじいさんは感じました。



「 ばあさんや、桃太郎はどうやら本気で行くつもりじゃ。男の子には、そういうことも必要かもしれん。行かしてやろう。な? 」



おばあさんは、おじいさんにそう言われても、何も言わずにうなだれてただただ泣いていました。