かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」 -11ページ目

「ソープの女~美沙~」五

歩きながら肩口まで伸びた髪をゴムで縛りつけると、美沙はタイル張りの床にしゃがみ、シャワーを出して温度調節を試みる。



やはり、六階は水回りが悪い。



出も悪いし、少し水の温度を上げようと思っても、すぐには上がってくれない。温度が上がりすぎたから今度は下げようとしても、なかなか下がらない。ようやく下がったと思ったら、しばらくすると下がりすぎて冷たくなってしまう。



微調整がちっともうまくいかない。



イライラする。少し離れた所でもじもじしている客には聞こえない程度に、チッと舌打ちをする。



まだ少し熱めだが、もうこれ以上は面倒だ。美沙は微調整を諦めて、「じゃあ、こちらに座ってくださ~い。」と仏頂面をして、客に例の金色のスケベイスに座るよう促した。



客はスケベイスに座りながら、



「あ、俺マット好きじゃないから、やらなくてもいいわ。」



と言った。



「あ、そう?わかった。マットプレイは無しね。」



美沙は快く客の申し出を受け入れる。マットプレイは接客の基本的な流れに組み込まれているが、客に強制することはない。



実際、こうして最初からマットはやらなくていいと言われたほうが有り難かったりするのだ。美沙はマットが不得意なわけではないが、客の体に泡をつけて自分の体をなすりつけたり滑らせたりするのは、わずかながら体力を使うし、客はこんなので気持ちいいのかと訝しい思いがいまだに美沙の中にはある。



(この客、意外とスムーズにクリアできるかな…?)



美沙は一瞬そう思ったが、もちろん油断は禁物である。客の本性はまだ何もわかっていないのだから。



ボディソープを手のひらに出し、洗面器の中のお湯に混ぜる。



その中に体を洗うためのスポンジを浸し、それで客の体を肩口から洗い始める。



すると、客が美沙の乳房を手で触ってきた。



客の手が邪魔になって少し洗いにくいし、気分的にも鬱陶しいのだが、そこは敢えて突っ込まずに黙って客の体を洗い続ける。



両肩を洗い、両腕を洗い、両手を洗い、胸と腹を洗い、ふと見ると、客の股間のモノがもうギンギンになっていた。



けれども美沙は引き続き淡々と客の体を洗い続ける。両脚を洗い、さっきから興奮しっぱなしの股間を洗ってやる。



泡をかけ、手のひらでモノを包み込み、滑らせるようにして洗う。こうして大きく硬くなっているほうが洗いやすいし、きれいになるな、などと冷静に思ったりしながら。



体を洗う作業が完了し、客のいやらしい手から逃れるように立ち上がり、シャワーでその体についた泡を洗い流す。



客は熱めのシャワーに特別な反応を示すこともなく、むしろ神妙な顔をして流し終わるのを待っていた。



「はい、じゃあ洗い終わったんで、湯船に入っててくださいね~。」



美沙はそう言ってからコップと歯ブラシを用意し、湯船に入ってくつろいでいる客に歯磨きをするよう促す。



その間にシャワーで今度は自分の体を洗い流す。立ち上がったまま、あられもなく股を開いてシャワーをそこに当て、手で痛くならない程度にジャバジャバ洗う。



姉さんには色気ってもんがないなあ…歯磨きしながら、そんなふうに言いたげな目をしている客には気付かないフリをして、美沙は手際よく自分の体を洗ってゆく。




恥じらいなんて、いらない。恥じらいは客の自惚れを助長させる。客の自惚れは、美沙にとって最も鬱陶しいものだ。虚像を抱いただけなのに実像を抱いてやったと馬鹿らしくも勘違いし、あまつさえ美沙の全てを知ったかのように勝ち誇った顔をされるのは、ヘドが出るほど嫌なことだ。



シャワーを止め、歯磨きを終えた客に「失礼しますね~。」と言って同じ湯船にゆっくりと入る。



プレイ開始だ。ウォーミングアップのような意味で、ここで客のモノを舐めてやらなくてはならない。