「ソープの女~美沙~」六 | かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」

「ソープの女~美沙~」六

いざ、とプレイの態勢を整えようとすると、客が前のめりになり、顔から迫ってきて美沙にキスしようとした。



美沙は、我慢できずに欲情してしまった客の両肩を慌てて手で抑え、



「ああ~ちょっと待って。ここを舐めてあげるから、そのまま腰を浮かして。ね?」



と言って客のモノを触り、いなすようにして客をプレイの流れに対応させようとする。



キスは、したくないのだ。客がちゃんと歯磨きをした後であっても。



したくない理由は、いくらでもある。まず、客はかなりの確率で口内の衛生状態が悪いからというもの。虫歯、歯肉炎、歯槽膿漏…想像しただけで、自分に移ってしまうのではないかと気が気ではない。



もうひとつは、精神的なことだ。昔の遊女も体はゆるしても唇はゆるさなかったと聞いたことがあるが、そうしたことなどで客との間に精神的な壁をつくっておきたいのである。客とこの部屋に入って、すぐに一服したのも、その一環と言えるかもしれない。



そして、もうひとつは美沙自身の問題で、美沙はヘビースモーカーの口臭がどんなに臭いものかを知っている。1日に何箱も吸っている自分もあんな臭いを放っていると思えば嫌になる。



キスは、したくない。どんな客であっても。他の店では渋々していたが、この店にいる限り、美沙はキスを拒否し続けるだろう。それが原因で客にクレームをつけられてもだ。



(いくらでヤらせてやってると思ってんだよ…。)



ちっちゃなことで色々言ってくる客には、そう言ってやりたいのである。激安とも言える値段で女の体を抱いているのに、いちいち文句をつける客はカスだ、と美沙は思っている。店側も同じように思っているはずで、ちょっとしたクレームで女の子にガミガミ注意したり、クビにしようとしたりすることはないのである。



美沙の他にも、キスを拒否し続けている女の子は何人かいるらしい。特に、この店に長く在籍している女の子に多いようだ。美沙は他との交流をあまりしないタイプだから詳しいことは知らないけれども、多分同じような理由で拒否しているのだろう。美沙から言わせれば、当然のことだ。それが通らないようなら、こんな店に長くいる理由はない。



そんな思いを胸の奥に秘めつつ、美沙は冷静にプレイ開始にかかる。



「はい、じゃあ失礼しますね~。」



手を下に潜り込ませて客の腰に当て、浮かび上がらせる。



客は、またしても思い通りにならかったため不満げな顔をしながらも、美沙の指示に従う。



湯から浮かび上がった客のモノは、少し間が開いたせいでもう柔らかくなっていた。



美沙は口を開け、舌を出し、客のモノを側面からゆっくりと舐め始める。



モノの根元から先のほうへ。舌先をなぞらせ、滑らせ、まずは客の興奮を奮い起こすように舌を動かす。



客のモノは、それで瞬く間に再び硬度を取り戻した。客がウットリとした顔で、せつなげな吐息を漏らす。



もうこれ以上ないくらいにモノが硬くなったところで、美沙はモノの先を口に含み、それから根元に向かって徐々に深く口元を沈めて美沙の口内のぬくもりを客に伝えていった。