「ソープの女~美沙~」一
部屋の扉を開け、美沙は思わず溜め息をついた。
「はあ…。」
運悪く、今日割り当てられたのは六階の部屋だ。朝から雨降りで、ただでさえ憂鬱だというのに、余計に気分が悪くなる。
六階、というより上の階は、水回りが悪いから嫌いなのだ。シャワーもカランもいまいち出が悪いので、もともと短気な性格の美沙はイライラしてしまう。
「それに、今日はあんまり稼げねーだろうしな…。」
昨年からの不景気に加え、いつも客が少ない月曜日…それに雨とくれば、今日はロクな稼ぎにはならないだろう。
美沙は不機嫌な顔をして、それでもとりあえず部屋に入り、扉を閉めた。
タバコや、その他諸々、仕事で使う小物など、色んな物が入った自分専用のプラスチックのカゴをクローゼットの中に入れる。
仕事用の衣装である赤いネグリジェの上に羽織ってきた白いカーディガンも脱いで、その中のハンガーに掛け、クローゼットの扉を閉めた。
どの部屋にもある同じタイプのガラス製テーブルのそばにペタッと座り込み、タバコをくわえて火をつける。何が何でも、まずは一服である。
煙を吐きながら、部屋中を、さもつまらなさそうな顔をして見回してみる。
部屋は、やっぱりどの部屋も一緒だ。飾り気のないベッド…その上に店が用意した黄色いタオルが数枚。その向こうにタイル張りの床、壁。シャワー、カラン、湯船。
マットプレイで使うマット。
そして、俗にスケベイスと呼ばれている、あの金色の椅子。
この部屋に、今日は何人の客が来るのだろう。
美沙指名の予約が入っているとは聞いていない。もっとも、そんなことは滅多にないのだが。
フリー、乃至は写真指名の客が何人ついてくれるか。
美沙は自分が大した美人でないことは自覚している。店頭に出してある写真は少し加工してあり、多少若く美しく写っているが、それは他の女の子も一緒である。
スタイルも、目立って優れているわけではない。激しく劣っているとも思わないが。
フウッと、また煙を吐く。
結局は巡り合わせ、運が良いか悪いかだ。人気のある女の子が全てふさがって、その時にどうかだ。
(最低でも四人くらい来てくれればな…。)
テーブルに置かれた灰皿でタバコの火をもみ消し、もう一本、 箱から取り出して口にくわえ、火をつける。
煙を吐く。
ふと、タバコがどのくらいあるか気になって立ち上がり、クローゼットを開け、カゴの中を調べた。
「あちゃー、二箱しかねえ。」
今開いている箱に入っているのが、あと数本しか残っていない。
客が少なければ、それだけタバコを吸う数も増えるだろう。
「買っときゃよかったなあ…。」
溜め息混じりの煙を吐く。
時刻は17時。これからどうなるのか。
(酔っぱらいだろうが、ジジイだろうが、何でもいいや。来てくださいよ~お客さん!)
美沙は再びテーブルのそばに座り、両手を上にあげてグッと背中を伸ばし、大きくあくびをした。
「はあ…。」
運悪く、今日割り当てられたのは六階の部屋だ。朝から雨降りで、ただでさえ憂鬱だというのに、余計に気分が悪くなる。
六階、というより上の階は、水回りが悪いから嫌いなのだ。シャワーもカランもいまいち出が悪いので、もともと短気な性格の美沙はイライラしてしまう。
「それに、今日はあんまり稼げねーだろうしな…。」
昨年からの不景気に加え、いつも客が少ない月曜日…それに雨とくれば、今日はロクな稼ぎにはならないだろう。
美沙は不機嫌な顔をして、それでもとりあえず部屋に入り、扉を閉めた。
タバコや、その他諸々、仕事で使う小物など、色んな物が入った自分専用のプラスチックのカゴをクローゼットの中に入れる。
仕事用の衣装である赤いネグリジェの上に羽織ってきた白いカーディガンも脱いで、その中のハンガーに掛け、クローゼットの扉を閉めた。
どの部屋にもある同じタイプのガラス製テーブルのそばにペタッと座り込み、タバコをくわえて火をつける。何が何でも、まずは一服である。
煙を吐きながら、部屋中を、さもつまらなさそうな顔をして見回してみる。
部屋は、やっぱりどの部屋も一緒だ。飾り気のないベッド…その上に店が用意した黄色いタオルが数枚。その向こうにタイル張りの床、壁。シャワー、カラン、湯船。
マットプレイで使うマット。
そして、俗にスケベイスと呼ばれている、あの金色の椅子。
この部屋に、今日は何人の客が来るのだろう。
美沙指名の予約が入っているとは聞いていない。もっとも、そんなことは滅多にないのだが。
フリー、乃至は写真指名の客が何人ついてくれるか。
美沙は自分が大した美人でないことは自覚している。店頭に出してある写真は少し加工してあり、多少若く美しく写っているが、それは他の女の子も一緒である。
スタイルも、目立って優れているわけではない。激しく劣っているとも思わないが。
フウッと、また煙を吐く。
結局は巡り合わせ、運が良いか悪いかだ。人気のある女の子が全てふさがって、その時にどうかだ。
(最低でも四人くらい来てくれればな…。)
テーブルに置かれた灰皿でタバコの火をもみ消し、もう一本、 箱から取り出して口にくわえ、火をつける。
煙を吐く。
ふと、タバコがどのくらいあるか気になって立ち上がり、クローゼットを開け、カゴの中を調べた。
「あちゃー、二箱しかねえ。」
今開いている箱に入っているのが、あと数本しか残っていない。
客が少なければ、それだけタバコを吸う数も増えるだろう。
「買っときゃよかったなあ…。」
溜め息混じりの煙を吐く。
時刻は17時。これからどうなるのか。
(酔っぱらいだろうが、ジジイだろうが、何でもいいや。来てくださいよ~お客さん!)
美沙は再びテーブルのそばに座り、両手を上にあげてグッと背中を伸ばし、大きくあくびをした。