官能小説「夕日に隠れて」五 | かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」

官能小説「夕日に隠れて」五

僕は松倉の気持ちをはかりかねて、その目をじっと見つめたまま、どうすることもできずに凝固していた。



と、松倉の表情がふっと緩んで、どうしたのかと思っていると、松倉は莞爾(かんじ)として笑い出した。



「むはははっ。ゴメン、なんか、こんなに人のこと褒めたの初めてだから照れてきちゃった。」



手を口に当てて笑いながらのけぞる松倉を見て、僕まで恥ずかしくなった。なんだよ…緊張して損したよ。



僕は今、完全に松倉のペースにはまり込んで振り回されているようだ。



癪にさわるなあ、と思っていると、松倉はポンポンと手のひらで僕の膝を軽く叩き、



「でもねえ、あたし、あの時、本当に坂口くんのこと格好いいと思ったんだよ。青春してるなあって感じがして。」



と、真面目な顔になって言った。



「本当かよ?どうせ、またからかってんだろ?」



「本当だって!今の坂口くんなら、あたし抱かれてもいいって本当に思ったもん。」



松倉はそう言ってニッコリと笑った。まただ、コイツやっぱりからかってやがると僕は思った。いや、思おうとした。



「お前なあ、そういうこと、ためらいもなく言うなよ。」



「え~、でも、そう思っちゃったんだから、しょうがないじゃん。」



松倉がそう言って、僕から視線を逸らした。



が、すぐにまた目をきらきらと輝かせて僕を見て、



「ねえ、坂口くんは女の子にどんなことして欲しいの?」



と聞いてきた。なんなんだ、その質問は……



「どんなことぉ?」



そう聞き返す僕の声は半分裏返っていた。



話の流れからいって、松倉のその質問は完全にエロいことについてだ。僕は動揺するまいと、懸命に心を落ち着かせようとした。が、どうしても、よからぬ期待が僕の中で頭をもたげてきて、松倉を見る僕の視界が、どんどんぼやけてきてしまう。



う~ん、なんて答えたらいいんだっ!?



答えに迷って口ごもっていると、松倉は答えを待ちきれなくなったらしく、自分から話をし始めた。



「あたしはねえ、当たり前っちゃあ当たり前だけど、まず濃ゆ~いキスしてもらってぇ、それからツーっと下へいって、首筋を、胸を舐めて欲しい。」



松倉はその後もかなり過激なことを臆面もなく言っていたような気がする。その発言の内容があまりにも凄すぎるので、僕の意識は半ば朦朧として、言葉の一つ一つを記憶するのが難しいくらいだった。



とにかく、松倉は男に体を舐められるのが大好きだということと、自分も相手を舐めるのが好きだということだけは、よくわかった。



そして…どうやら、僕に何かを期待しているらしいということも……。