私的 桃太郎伝説 23 | かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」

私的 桃太郎伝説 23

と、そこで猿が何やら不穏な気配が背後から漂ってきているのを感じました。



バッと振り向き、見ると、恐ろしい光景が猿の視界に広がりました。



「 ダ、ダンナ!見てくださいよ! 」



猿は手招きして桃太郎に呼びかけます。



「 なんだ…。 」



桃太郎も振り向きました。



すると、おそらく山から降りて来たのでしょう、何十匹という野犬が、横に一列に並んで桃太郎と猿の背後を囲んでいるではありませんか。



「 なんなんだ…コイツらは。 」



桃太郎はつぶやき、犬達の姿を呆気にとられた顔で見ていました。



そのうち、一つのことを発見しました。



桃太郎はすっと立ち上がって犬達のほうへと歩み寄っていきます。



「 あ…ダンナ!大丈夫ですかい? 」



猿が心配そうな顔をして言ったのですが、桃太郎はそれを無視してノッシノッシと歩いていきます。



犬達は一斉に桃太郎に向かって吠えました。



しかし、その中に一匹だけ吠えていない犬がいます。



その犬は群の真ん中にいて、騒ぎもせず、恐れもせずに桃太郎を真っすぐ睨みつけています。



体も他の犬と比べて一際大きく、戦いでついたと思われるキズがいくつもあり、なんとも言えない凄みがありました。



桃太郎はその犬の前に立ち止まり、



「 お前がこいつらの頭だな? 」



と言いました。