私的 桃太郎伝説 22 | かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」

私的 桃太郎伝説 22

桃太郎の一行は、そこで一夜を明かしました。



翌朝、早々に出発しました。



今日中に海の近くまで行って、そこでまた一夜を明かし、その翌朝に海を渡るつもりでした。



しかし、なんとも奇妙な一行です。



まだあどけなさの漂う顔の大男に猿が付き従い、そのすぐ後ろを美しいキジが飛んでいます。



たまに旅人や野良仕事の人などに出くわすことがあるのですが、桃太郎の一行を見ると、皆一様に足を止めて呆然と彼らを見送ります。



なんなんだ?何者なんだ、あやつらは?という感じで。



桃太郎は強がって、他人の視線など全く気にしないような顔をして堂々と歩いていましたが、内心では甲冑や「日本一」と書いた幟を置いてきて本当によかったと思っていました。



(あれらを身につけていたら、完全に変人扱いだったろうな…役人まで出てきたかもしれん。)



何者をも恐れぬ桃太郎ですが、面倒なこと、厄介なことは嫌います。



できるだけ人気のないところを選んで歩いて行きました。



そんなふうに頑張って行って海にどんどん近づいて、割と低い山を越えた麓のところで、そろそろ昼飯にするかとなりました。



すぐ近くに川があり、川原のそばで桃太郎は火をおこしました。



「 よし、では今回はキジが魚を捕ってくる番だ。 」



桃太郎が命令すると、



「 えっ、あたし!?なんでよ。 」



キジはブーブー文句をたれます。



「 いいから行ってこい。ぶっ殺すぞ。 」



「 ぶっ殺す!?なんて言い草なの…。レディーに向かって… 」



キジが悔しくて歯噛みしていると、猿が



「 いいから黙って行ってきなよ。ダンナが機嫌悪くなったらこの先つらくなるよ。 」



とキジに小声で耳打ちしました。



キジは不満気な顔をしながらも、川に魚を捕りに行きました。