私的 桃太郎伝説 13 | かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」

私的 桃太郎伝説 13

「 じゃあ、行ってきます。 」



桃太郎は堂々と言っておじいさんとおばあさんに背を向け歩き出しました。



少し距離が開いたところで振り返り、見送る二人に向けて軽く手を振りました。



それからはもう前を向いてひたすら歩くのみでした。



(これからは、本当に一人だ……。)



気が引き締まる思いでした。



嫌な思い出ばかりの村を避けて行き、しばらくすると、人気のない静かな林がありました。



桃太郎はその中に入って、あたりを見回し、身につけていた甲冑や刀や陣羽織などを脱ぎ捨てるのにちょうどいい場所を探しました。



木々の梢や枝が朝の風に吹かれて、さわさわと音をたてながらそよいでいます。



そして、桃太郎が「ここらでいいか…。」と立ち止まったところへ、頭上から変な笑い声が聞こえてきました。



「 キキキッ、キキッ…… 」



桃太郎は上を向いて声の主を探しました。が、誰もいないように思えます。



すると、



「 キキキッ、キキャー!こりゃたまらねえ。桃太郎のダンナ、なんですかい、その恰好は! 」



と、もう一度、声が聞こえました。やはり上からなのですが、その声は今まで聞いてきた人間の声とは明らかに異質な声でした。



しかし桃太郎は動じません。泰然として相手の居所を目で探しました。



と、桃太郎のはるか頭上の少し左のあたりで、木々の音に紛れてガサッと妙な音が聞こえました。



桃太郎はバッとその方向に目を向けると、まだ身につけていた脇差を素早く抜いて、音がしたあたりをめがけて思いきり投げつけました。



「 ギャーーー!! 」



声の主と思われるものが叫びながら、さくなだりに上から落ちてきました。



バターン!



(命中はしてない…。)



桃太郎は直感でそう思って、それが落ちたところへ歩いていきました。



「 イテテ……。 」



言いつつその場に座り込み、腰を手で押さえている生き物を見て、桃太郎は驚きました。



猿、だったのです。