官能小説「放課後の夜」三十六
「 波川くん、お家どこだっけ? 」
良雄は自分の家のある地区名と近くにある大型スーパーの店名を言った。
(待てよ…そうだ!)
そこで良雄は閃いた。自分の家の近くまで続く国道沿いに、陸上競技などで使うスタジアムがあることを。
国道からスタジアムの裏手に回ると、割と広い駐車場がある。そこは大部分が観覧席の影になっていて昼間でも暗く、たまに外回りのサラリーマンなどがさぼって車の中で寝ていたりすることもある。が、今ぐらいの時間帯はそういう人もいないのではないか…?
良雄は、あそこなら喫茶店だの何だのよりも余程二人きりの気分を味わえると思った。
「 先生、落ち着いて話せる場所があるんで、そこでゆっくり話しようよ。 」
「 え?うん…どこ? 」
「 国道に入ってしばらく行ったら大きなスタジアムがあるから、そこで。 」
奈津子は帰る道すがらに話を聞けばいいと思っていたのだろう。
(そういうわけにはいかない…第一、何を話すにしても時間が全然足りないよ。)
良雄は心中秘かに呟く。
スタジアムまでそう時間はかからなかった。良雄はいちいちナビして戸惑い気味の奈津子を裏手の駐車場へと導く。
駐車場には、入り口側の角に一台だけ車が止まっていた。白い業務用と思われる車。サボりだろうか。運転席が倒れているのだけが見える。
良雄は一番奥まで行こうと奈津子を誘う。
大きめの駐車場の対角線上に、一台ずつ車が止まる形となった。
「 すごい静かだね…ちょっと暗いし。 」
奈津子が言う。
良雄は一気に緊張してきた。こんなに緊張するとは思わなかった。これだけ狭い空間に、奈津子と二人きり。
早鐘のような鼓動の音を奈津子に聞かれはしないか。奈津子は今何を考えているのか。
「 で、話って? 」
奈津子が良雄に問いかける。
良雄は迷った。
(あの話をするべきなのか?いや、するにしてもどう切り出せば…)
もっと考えをまとめておくんだったと後悔した。しかし、その一方で、
(待て…俺と先生はもうキスした仲なんだぞ!もっと自信を持っていいはずだ!話があろうが無かろうが…)
と男らしく強気に押したい気持ちがむくむくと湧き上がってくる。
良雄はすうっと息を吸い込むと、今にも震えそうな手を奈津子に向けておずおずと差し出した。
奈津子の太ももにその手を置く。幸い震えはこない。
奈津子が黙って良雄の顔を見据える。
良雄も目を合わせる。
すると、太ももに置かれた良雄の手に奈津子の白く柔らかな手が包み込むように重なった。
(先生…。)
その美しくも慈愛に満ちたぬくもりは、愛しさにぬめった舌の感触を思い起こさせ、下燃ゆる良雄の心をいともたやすく溶かしていった。
良雄は自分の家のある地区名と近くにある大型スーパーの店名を言った。
(待てよ…そうだ!)
そこで良雄は閃いた。自分の家の近くまで続く国道沿いに、陸上競技などで使うスタジアムがあることを。
国道からスタジアムの裏手に回ると、割と広い駐車場がある。そこは大部分が観覧席の影になっていて昼間でも暗く、たまに外回りのサラリーマンなどがさぼって車の中で寝ていたりすることもある。が、今ぐらいの時間帯はそういう人もいないのではないか…?
良雄は、あそこなら喫茶店だの何だのよりも余程二人きりの気分を味わえると思った。
「 先生、落ち着いて話せる場所があるんで、そこでゆっくり話しようよ。 」
「 え?うん…どこ? 」
「 国道に入ってしばらく行ったら大きなスタジアムがあるから、そこで。 」
奈津子は帰る道すがらに話を聞けばいいと思っていたのだろう。
(そういうわけにはいかない…第一、何を話すにしても時間が全然足りないよ。)
良雄は心中秘かに呟く。
スタジアムまでそう時間はかからなかった。良雄はいちいちナビして戸惑い気味の奈津子を裏手の駐車場へと導く。
駐車場には、入り口側の角に一台だけ車が止まっていた。白い業務用と思われる車。サボりだろうか。運転席が倒れているのだけが見える。
良雄は一番奥まで行こうと奈津子を誘う。
大きめの駐車場の対角線上に、一台ずつ車が止まる形となった。
「 すごい静かだね…ちょっと暗いし。 」
奈津子が言う。
良雄は一気に緊張してきた。こんなに緊張するとは思わなかった。これだけ狭い空間に、奈津子と二人きり。
早鐘のような鼓動の音を奈津子に聞かれはしないか。奈津子は今何を考えているのか。
「 で、話って? 」
奈津子が良雄に問いかける。
良雄は迷った。
(あの話をするべきなのか?いや、するにしてもどう切り出せば…)
もっと考えをまとめておくんだったと後悔した。しかし、その一方で、
(待て…俺と先生はもうキスした仲なんだぞ!もっと自信を持っていいはずだ!話があろうが無かろうが…)
と男らしく強気に押したい気持ちがむくむくと湧き上がってくる。
良雄はすうっと息を吸い込むと、今にも震えそうな手を奈津子に向けておずおずと差し出した。
奈津子の太ももにその手を置く。幸い震えはこない。
奈津子が黙って良雄の顔を見据える。
良雄も目を合わせる。
すると、太ももに置かれた良雄の手に奈津子の白く柔らかな手が包み込むように重なった。
(先生…。)
その美しくも慈愛に満ちたぬくもりは、愛しさにぬめった舌の感触を思い起こさせ、下燃ゆる良雄の心をいともたやすく溶かしていった。