官能小説「放課後の夜」三十五 | かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」

官能小説「放課後の夜」三十五

(先生は俺を見て驚くだろうか。冷たくするだろうか。)

奈津子の姿を見た瞬間ドキッとして少し不安になった良雄だったが、それでも思いが溢れて駆け出していた。

「 先生! 」

「 あれっ!?波川くん、どうしたの? 」

良雄はホッとする。奈津子は確かに少し驚いてはいるが、疎ましそうな顔はしていないように思えたのだ。

「 いや…ちょっと、話したいことがあって…。 」

「 話したいこと? 」

「 はい…。 」

昨日のこと覚えていますか?そう聞きたくなるくらいに奈津子は良雄を目の前にしてもケロリとしている。

もっとも奈津子のその目はいつもの優しさを湛えているので、良雄の緊張感は徐々に緩んでいた。

「 何だろ、何の話? 」

奈津子が微笑んで良雄の表情をうかがう。

(罪のない顔だ…この人が不倫なんてするものかよ!)

良雄はそう思った。そして、その話はともかくとしても、何でもいいから奈津子との二人きりの時間が欲しいと熱望した。

「 それが、ここじゃちょっと…。 」

言った良雄の鼓動が高鳴る。

「 そう?話しにくいんだ。じゃあ乗って?今開けるから。 」

奈津子はそう言って鍵をバッグから出し、車のドアを開けた。実にアッサリしたものだった。

良雄は思い切りガッツポーズしたい気持ちを抑えて助手席に乗る。

奈津子がエンジンをかけた。

「 狭かったら座席下げていいからね。 」

奈津子のさりげない優しさが良雄の心に沁みる。

一方で、人の目に触れないか心配でもある。駐車場には今のところ誰もいないが、正門には帰りの生徒たちがいるだろう。

ここはもう一つの道、校庭側のほうから出たほうがいいのでは…良雄はそう思ったが、言うまでもなく奈津子はそっちに向かってハンドルを切った。

良雄の夢と期待を乗せて車は走り出す。どこに行くのか、そんなことはゆっくり走りながら決めればいい。