官能小説「放課後の夜」三十四 | かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」

官能小説「放課後の夜」三十四

全ての授業が終わった。奈津子のことばかり考えて待ちくたびれた良雄は、まるでこの数時間でいくつも年を取ってしまったかのようだった。

何はともあれ、すぐに教室を出る。達也と涼子の反応がちらと気になったが、それも歩く速度を上げながら振り払った。

玄関を出て、他の生徒たちが帰るために正門に向かうのとは反対方向に歩き出す。その先にある大きな校舎の裏側に駐車場があるのだ。

もしやと思い駐車場を見渡したが、やはりまだ早いと見えて誰も来ていない。

奈津子の車は…確か黒い軽自動車だったはずだが、何ヶ月か前に奈津子が乗っているのをチラと見たきりだし、まだあまり車に興味のない良雄はキチンとその車のフォルムを頭の中に描くことができない。

黒い軽自動車は…まだ四・五台残っている。この中のどれかか。

(そうだ、怪しまれないようにしないといけないな…。)

変にうろちょろしてると、そこに来た他の先生などに不審に思われて尋問を受けるハメになるかもしれない。

駐車場の向こうには校庭がある。良雄は、そこに足を踏み入れて駐車場には敢えて背を向けた。もちろん背中に目がついているかのように後ろを気にしながら。

誰かが来るたびにチラッチラッと振り向く。良雄を見てから車に乗り込む先生もいれば、何も気にせずにいそいそと台車を荷台に積み込んで帰っていく業者もいる。

奈津子が受けもっているのは数学の授業だけで、クラスの担任ではないからそんなに遅くはならないはずだ。

そして、二十分ほど経ったその時、紺色のワンピースにまた黒いカーディガンを羽織った奈津子がバッグを持って現れた。