官能小説「放課後の夜」三十二 | かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」

官能小説「放課後の夜」三十二

「 はああ?何言ってんの!? 」

動揺を隠すために良雄はとぼけた。

「 ………。 」

涼子は黙って良雄を見つめる。

涼子は二人が保健室に入ったところを見ていたわけではない。奈津子に勉強のことを聞きに職員室へ行った時に、奈津子がいなかったのでそこにいた担任の松尾に聞くと、その近くにいたまた別のクラスの担任が、二人が保健室に入っていくのを見たと言ったのだ。

涼子はそれを聞いて、二・三カ月ほど前からクラスの中の数名の女子たちの間で流れていたある噂話を思い出して慄然とした。

保健室は職員室の隣にある。それでも涼子は一旦は帰ろうと職員室を出て玄関に向かおうとしたのだが、やっぱり気になって保健室の前まで来てしまった。

すると、かすかに奈津子の呻き声のようなものが聞こえ、涼子は驚いて出入り口に近づき耳をそばだてると、さらに…

涼子は、そこからはもう思い出したくもなかった。

そして、涼子の中で良雄よりも奈津子のほうを憎む気持ちがどんどん膨らんでいった。

(波川くんは奈津子先生がどんな人かわかってない。)

「 波川くん… 」

涼子は自分の知っていることを全て教えてやろうと口を開いた、とその時…

涼子は戦慄した。良雄の鼻の頭に、直径一センチほどの範囲で白い粉が付いていたのだ。

(ファンデーション…!?)

よく見ると、かすかにではあるが、唇の片側の端にも同じような白い粉が付いている。

それは奈津子との生々しい行為を裏付ける何よりの証拠であった。

涼子は動揺して言葉を失い、生唾を飲む。

耳から頬から、涼子の肌がどんどん紅潮してくる。

その様子を見て、何も知らない良雄はなんだか気味が悪くなり、

「 なんだよ…話がないなら帰るぞ。 」

と言って涼子を振り切ろうとした。

「 待って。 」

涼子が引き止める。

「 奈津子先生のことで、話があるの。 」