官能小説「放課後の夜」二十九 | かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」

官能小説「放課後の夜」二十九

「 波川くん…自分で何言ってるかわかってるの…? 」

「 わかってますよ… 」

そう言って良雄は、懲りずにまた奈津子の首筋を舐め始めた。しかし、その舌先には先程のような荒々しさはなく、まるで懇願するように、肉体にではなく心に訴えるように奈津子の肌を這っていた。

奈津子が良雄の変化を敏感に感じ取り、ピクンと反応する。そして、良雄の制服の腰辺りを両手でぎゅっと握りしめた。

「 はぁ… 」

半開きになった奈津子の口から艶やかな溜め息が漏れる。

良雄の舌は今度は調子づくことなく、逆に柔軟性を増しながら、優しく深く奈津子の首筋を通じてその心の襞をなぞり続けた。

時々その濡れた唇をも這わせて快楽の蜜を吸い、与え、奈津子を懐柔しようと粘りつく。

良雄の愛撫は、期せずして数々の女の芯をとろめかしてきた大人の男のそれに近づいていた。もちろん、本人に自覚はないのだが。

奈津子は葛藤に揺れつつも、その絶妙な舌づかいの前に成すすべなく、意識の底から理性を浮かび上がらせる暇(いとま)も見つけられない。

(ダメよ、波川くん…)

その時、奈津子は仄あたたかな水滴が自分のうなじあたりにぽた、ぽた、と落ちたのを感じた。

(なに…?)

ゆっくりと顔を上げ、良雄の表情をうかがう。


すると…あろうことか、良雄が目から涙を流していた。


突然のことに奈津子は戸惑う。

「 …どうして泣いてるの? 」

「 わからないです…でも、俺… 」

「 でも、なに…? 」



「 …俺、先生のことが…本気で好きなんですよ… 」


「 そんな… 」

奈津子の瞳も濡れている。

(わかってください…。)

良雄は奈津子に顔を近づけると、その唇にはらりと絹を被せるようにキスをした。

「 う…ん。 」

抵抗しない奈津子。

やがて差し入れられた良雄の舌も泣いていた。奈津子はふっと目を閉じ、そして…ついに自ずから舌を舌に絡ませた。