読書感想「28年目のハーフタイム」金子達仁 | かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」

読書感想「28年目のハーフタイム」金子達仁

この作品が良いか悪いかは別にしても、サッカーフリークを自称する人ならこれは読んでおかなきゃ駄目でしょう。そんなにコアなサッカーファンじゃない僕だってフツーに読んでますし。

文章だってそんなに難しいことはない。優しく書かれてあります。サッカーに興味のない人には退屈なんでしょうが、あの「マイアミの奇跡」でしたっけ?(本が手元にないので記憶が曖昧)その舞台裏が選手達のインタビューを基に赤裸々に描かれています。特に中田英寿についてはあらゆる角度から詳しく書かれてます。当時スターだった前園真聖についても。

初めてこれを読んだ時は面白くて夢中で読みましたけど、今振り返ると複雑ですね。この当時は金子さんも、サッカーファンの皆さんも、日本のサッカーはこれから世界のトップクラスを目指してどんどん強くなるんだという希望が、夢が、自信があったと思うんですが、今はどうなんでしょう。

ACLで日本のクラブが二年連続で優勝したのはとても重要なことだと思います。ただ世界のトップクラスには誰の目から見てもほど遠いし、これからトップに近づいていけるのかについても…かなり厳しいと思います。

日本の若いサッカー選手が留学などで海外に行くと、たいてい現地の選手達の気持ちの強さ、タフな精神力、そして、何よりサッカーを楽しまなきゃ駄目なんだという点において圧倒されてしまっている。

なぜなら彼らにとってサッカーはなくてはならない文化であり、生活の糧なんです。体中に流れる血液の赤血球と白血球がサッカーボールの模様になってしまうくらいに、彼らはサッカーについて努力し、考えている。

日本のサッカー選手達がああいうふうになれるか?難しいでしょう。金子さんも、それからあのオシムさんも似たようなこと言ってましたが、いい意味でも悪い意味でも、日本は「豊か」すぎますから。彼らほどの努力をしなくても生きてはいけますから。

本物のストライカーが育たない理由もそこにあるのでしょう。サッカーファンのかたならわかっていると思いますが、ワールドクラスのストライカーはほとんどがスラムの出身です。

話が脱線してしまいました。えらそうに語ってしまって恐縮です。当たり前のことを自分だけの考えであるかのように…まあそれでも訂正するつもりはありませんが。

ああ、それと誤解のないようにつけ足しておきますが、こんなことを書いていながらも、僕は日本のサッカーが強くなることを心の底では強く願っています。いや本当ですよ。

最後に、この本の終わりぐらいにインタビューに答えている当時のブラジル代表だったアウダイールにご苦労様と言いたい。数年前の怪我負けの試合を…あんなもんまぐれに決まってんじゃねえかって言われても不思議じゃないのに、彼は筆者の質問に真摯に受け答えしていた。見習わなきゃいけませんね。