官能小説「放課後の夜」二十四 | かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」

官能小説「放課後の夜」二十四

良雄の突然の行動に、奈津子は瞠目する。

立ち上がった良雄は、何故か大きくため息をつき、手のひらで顔を撫で回しながら、

「 先生…もう駄目です。いや駄目っつーか… 」

そう言ってうつむき、今度は両手を腰に当てた。

落ち着きがないのが自分でもわかる。

(駄目?駄目って何が駄目なんだ?)

自分で自分がわからなくなる。

様々な妄念が、苛立ちが、色情が、良雄の頭の中で不穏に煙って燻り満ちる。

「 どうしたの…?波川くん、やっぱり具合悪いんじゃ… 」

奈津子が心配そうな顔をしながら、ゆっくり立ち上がる。

(先生が近くに寄ってくる…?)

良雄は過剰に反応する。そして甘い興奮に包まれる。しかし、期待通りにはならず、奈津子はその場で立ったまま良雄の様子を見ているだけだった。

距離を感じた。もどかしさに苛立った。けれどもこの状況ではどうすることもできない。

ふと、左側の壁の奥にある扉が良雄の目にとまった。それは隣の保健室に続くもので、良雄の記憶が正しければ今は開かないようになっているはずだった。

この進路指導室は、以前は倉庫みたいに使われていた部屋で、進路指導室となるのに伴ってその扉は自由に開けられないようになったのである。

(保健室…)

良雄は何か良い出口を見つけたような気がした。

「 先生、やっぱりちょっと体がだるいから保健室で休んでいいすか? 」

声がうまく出ず、かすれ気味だ。

「 そう?わかった…布団とか大丈夫かな…。 」

奈津子はそう言って、部屋から出ていき、隣の保健室の扉を開けた。良雄もそれについていく。

「 布団は大丈夫だね…あっお薬飲む?頭痛薬か、風邪薬か… 」

奈津子が甲斐甲斐しくベッドの布団を整えながら、優しく声をかける。

「 いや…薬は大丈夫です。 」

良雄はそう言いながら、布団を整えている奈津子の尻を背後からいやらしい目で見ていた。

股間が熱くなるのを感じた。

そして奈津子は良雄のほうに振り返り、

「 じゃあ私、波川くんのお家に連絡してくるわ。そのほうがいいでしょ。 」

そう言って出ていこうとした。その瞬間、良雄はサッと血の気が引くと同時に、反射的に奈津子の腕を掴んでいた。

(親になんて言わなくていい。いや、何よりも先生を逃がしたくない…)

驚きのあまり声も出せない奈津子を、良雄はそのまま引き寄せて抱き締めた。

(そうだ…俺はずっとこの時を待っていたんだ!)

両腕で、しっかりと奈津子の体を包み込む。あの時、授業中に味わった香気が、再び良雄の鼻腔に満ちていく。そして、初めて触れる柔らかいこの肉体。一気に興奮度が増した。

「 なに?波川くん、どうしたの? 」

動揺しながら問いかける奈津子の言葉も、今の良雄には届かない。

(先生…もう俺は止まれませんよ…)

息を荒げながら、良雄はついに奈津子の尻へと手を伸ばした。躊躇いが、背徳の重さが、罪悪感が頭の中に浮かんでは消えていくのを感じながら。