官能小説「放課後の夜」二十一 | かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」

官能小説「放課後の夜」二十一

「 はい、じゃあ今日は小テストします! 」

今日も颯爽と現れた奈津子はいきなりそう言ってテスト用紙を配り始めた。

どよめく生徒達の中で、良雄は違う意味で動揺していた。

(小テスト!?全然聞いていない。今の俺がそんなことに集中できる訳ないぞ!)

奈津子のことで頭の中がいっぱいになっている今の良雄は、小難しい数式だの計算だの考えるのも煩わしい。ましてテストなどと。

教師の立場から言わせれば何の問題もない、生徒達に刺激を与えるという意味ではむしろ良いことかもしれないのに、色情の渦に堕ちていく良雄の、欲望に包まれた感情はそれをはねのけてしまう。

テスト用紙が回ってきても良雄は上の空で、全くやる気が起きずにただうつむいているだけだった。名前を書く気すらない。

良雄はふと教壇に佇んでいる奈津子に目を向けた。そうだ、今日の奈津子はスカートを履いていない。あの艶めかしいふくらはぎが紺のパンツに隠れてしまっている。良雄はわかりやすく落胆し、舌打ちする。

この際、冷静になってテストに集中するか。一瞬そんな考えが頭に浮かんだのだが、いざ鉛筆を持って問題に向かおうとすると頭がぼうっとして気だるくなり、嫌になってしまう。

テスト。紺のパンツ。気だるさ。そして、何よりこっちの気など雫も知らずに呑気に佇んでいる奈津子のあの顔。

どうすればいいのか、どう受け入れればいいのか、考えられないし考える気も起きない。

(先生は今日はああやって突っ立っているだけなのか?)

苛立ちが募る。

(もうどうでもいいんだ、このまま白紙で出してやろう。たかが小テストだ…)

良雄はそう思いながらも、その反面で傲岸不遜に開き直っている自分自身に驚いていた。

(いいんだ、いいんだ。落ち着こう。どうということはない。怒るなら怒ればいい。そのほうがかえって面白くなるさ…)