官能小説「放課後の夜」三 | かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」

官能小説「放課後の夜」三

授業が終わった。

奈津子はいつもと変わらない様子で教室を出ていった。

良雄は教科書やノートを片付けると、虚脱して机の上に突っ伏した。

頭の中が、濁って不快にうねっている。誰とも話したくない気分だ。このまま寝たふりをしよう。

「 おい、おい! 」

寝たふりをしている良雄の肩をつかんで揺らしいるのは、普段から話すことの多い中村達也だろう。良雄とは違って思ったことをすぐに口にする、明るい性格だ。根っからの明るさが、良雄にとっては羨ましくもあり、鬱陶しくもある。

「 んん、何だよ。」

いかにも眠そうな顔をして、良雄はゆっくりと体を起こした。

「 見たかよ、数学のオバン。 」
「 んん?何かあった? 」

「 何かあったって!スカート履いてたろ!今まであんな格好したことなかったのに。 」

血が逆流するような思いをしながら、けれども努めて平静を装い、

「 うーん、そうだっけ? 」

と良雄は言った。うまくごまかせるか、どうか。

「 そうだっけってお前、ウソつけよ!気づいてたくせによー。 」
「 気づいてねえよ。うるっせえなー。 」

鼓動が高鳴っているが、絶対に悟られてはならない。

「 チョー気持ち悪いよ。びっくりしたよなあ。 」

達也は本当に気持ち悪がっているようだった。やっぱりそれが普通なのか…良雄はドーンと気分が落ち込むのを感じていた。

二の句が継げずに黙っている良雄をよそに、達也はしゃべり続ける。

「 あまりのショックでさあ、オレ勉強が手につかなかったよ。何だったんだよ、あれはよー。 」

ショック…勉強が手につかなかった?気持ち悪いとか言っているが、達也だって本当は、本当は同じ思いを感じていたのではないのか?良雄はそう思わずにはいられなかった。