新種・珍種の財政破綻論 | 進撃の庶民 ~反新自由主義・反グローバリズム

本日は、うずら様の寄稿コラムです!

「クニノシャッキンガー!」「財政破綻待ったなし!」などと唱える人達もなぜか、日本円で給料をもらいドルに変えたりなどしないこの矛盾。

まさに「詭弁」と呼ぶにふさわしく、そのことを喝破するコラムとなっております!

ぜひともお読みいただき、その爽快な切れ味鋭いコラムを味わってくださいませ!

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新種・珍種の財政破綻論~うずら様

世の中には、怪談話や都市伝説、埋蔵金伝説等々、信憑性のない噂話や法螺話が溢れています。
「友達の知り合いから聞いた話なんだけどさぁ~」とか、「バイト先の子の元同級生が実際に見たんだけど…」なんて出所不明な話に尾ひれがいくつも重なり、いつの間にか積乱雲のように巨大化するのが常ですが、怪談話の類いは泡のように浮いては消えるを繰り返し、絶えることはありません。

私も怪談は大好物の口ですが、あくまでエンターテイメントとして楽しむべきもので、メンタルがイカれるほど幽霊を本気で信じちゃいけませんよね。

さて、巷の怪談話みたいに、手を変えネタを変えて沸き起こるのは「財政破綻論」も同じです。

財政破綻論が本格化したのは、1995年の武村正義蔵相(当時)による国会での財政破綻宣言からと言われていますが、それが猖獗を極めたのは小泉バカ政権誕生の辺りで、国民は「緊縮財政こそが日本の未来を救う」という奇天烈な宗教を信じ込み、「歳出カットだ‼ 改革だ‼」と、経済のタネになるはずの『需要根絶運動』に傾倒していきました。

需要が萎めば、それを栄養分とする供給も痩せ細るのは自明の理ですが、宗教の力とは誠に恐ろしいもので、「景気が悪いのは、財政破綻を心配するあまり国民がカネを使えないせいだ」とか、「経済成長できないのは、改革が足りないせいだ」といった500%的外れの大詭弁が堂々と罷り通り、多くの国民が、「無駄な歳出をもっと減らせ!」、「改革から逃げるな!」とボルテージを上げ、生活破綻へと向かう“死の行進”に喜々として参加してきたのですから、開いた口が塞がりません。

こうした世論の後押しがあるせいか、幼稚な財政破綻論者は、積極財政金融派から次々と矛盾や論理破綻を指摘され一敗地に塗れてきたにもかかわらず、自信満々に新手の詭弁を繰り出してきます。

財政破綻業界は、まさに“経済論壇のコスタリカ(※新種生物や植物の世界的宝庫)”の様相を呈しており、ちょっとそこらの草むらに分け入って行けば、珍獣ハンターならずとも、世にも不思議な新種に出会える楽園です。

最近、私が出会った新種や珍種の破綻論は、次の三つです。
①国債金利高騰に伴い日銀当座預金の利払い負担が増えて日銀が債務超過に陥り、円が暴落し財政破綻する
②仮想通貨の沸騰が個人預金を吸い上げ、国債買い入れ資金が不足し財政破綻する
③電子決済の普及により個人預金を吸い上げられ、国債買い入れ資金が不足し財政破綻する

破綻論者は、仮定や前提がいつも突飛です。

①の国債金利が〇%上がったら~なんてのは、まさにこれで、どういうメカニズムで金利が高騰するのか、彼らはまったく説明しません。

使徒襲来じゃあるまいし、金利高騰という前提条件が整うための経済環境について何の説明もなしに、それを所与の条件であるかのように騙るのはジャンク論の証しです

仮に、国債金利が高騰するほどの好景気が到来したとすれば、実体経済下で資金の取り合いが激烈化する筈で、金融機関はこぞって日銀当座預金から資金を引き出し、企業や家計への融資を爆増させるでしょうから、付利対象の当座預金残高は大幅に減り、日銀の利払い負担など大したことにはなりません。

そもそも、日銀による当座預金への付利は、あくまで「特例措置」なのですから、利払いが嫌なら元のゼロ金利に戻せばよいだけの話でしょう。
金融界では、当座預金には利息を付けないのが古くからの常識です。

よって、円は暴落しませんし、財政破綻もあり得ません。

次の②と③は典型的な「使ったお金消滅論」に基づく初歩的な勘違いです。

私自身、詐欺紛いの仮想通貨などパチンコ屋のコイン程度にしか思っていませんが、仮想通貨であれ、電子マネーであれ、それを購入(入金)した現預金は購入先の口座に移動するだけで、預金としてこの世に存在し続けます。

この手のインチキ論を吹聴する輩は、仮想通貨の数倍もの取引高がある株式を買ったお金が消えるとは言わないくせに、なぜか、仮想通貨を買ったお金だけがこの世から消滅すると言い張るのですから失笑を禁じ得ません。

だいたい、仮想通貨や電子マネー発行元の気持ちになってみれば簡単に解る理屈です。
彼らは何を欲しがって仮想通貨や電子マネーを世に出したのでしょうか?
答えは簡単。それは「現金(お金)」です。

仮想通貨を発行して肉まんや洋服を欲しがるバカはいませんよね?
彼らは現金を手に入れたいがために日夜事業に没頭しているはずですから、せっかく手に入れた現金を溶かすような真似はせず、しっかり預金口座に保管するはずです。

電子決済とて同じことで、電子マネーを得るためにチャージした現金は、発行元の預金口座に移動し、その後の商取引を通じて様々な金融口座の世界を未来永劫飛び回り続ける運命です。

仮想通貨や電子決済ごときで預金が消えるなら、株式を買っても、車を買っても、サンマを買っても預金が消えるはずですよね?

こうした新種・珍種の破綻論が後を絶つことはありませんが、破綻論者に限って、価値が大暴落するはずの「通貨=円」を後生大事に手放そうとしないから不思議です。

「財政破綻論者」の不可解な行動=「節約してお金をためる」という矛盾』(2016/12/7 時事通信)
「(略)「財政破綻論者」とは私の父だ。週刊誌か、あるいはテレビのワイドショーに感化されたのか、かなり前から「財政は破綻する」が口癖となった。確かに日本の財政事情は悪いが、それでも低成長・低インフレの持続が見込まれ、当分は国債も順調な消化が見込まれる。そう説明したこともあるが、破綻論に取りつかれた父には馬の耳に念仏。終戦前後の苦しい時代がやってくる、とのイメージにとらわれている。
「財政破綻」が起きると、お金の価値は失われる。節約して貯蓄する行為は無意味となる。本当に破綻が心配なら、手持ち資金の価値が失われる前に国際競争力のある企業の株を買う、またはドルなど外貨資産に切り替えた方がいい。あるいは、お金に価値があるうちに散財する、というのも手だ。実際には、父がやっていることは冒頭にも紹介したように節約である。(略)」

財政破綻論をまことしやかに騙る評論家やブロガーが、円で支給される給料や報酬を喜んで受け取り、今日もいそいそと円を使って買い物する姿が滑稽でなりません。

詭弁師という生き物の行動は、常に矛盾だらけですね。

(了)


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