ジョジョの忠義な哲学 第6部 8 | 進撃の庶民 ~反新自由主義・反グローバリズム

本日は、バケツリレー様の寄稿コラムです!

読んでいて、凄く個人的(ヤン)に考えたことなのですが、「仕事で嫌なことがある」とか「心が荒むような事態が発生する」、「大切な人がなくなる」とか、誰でもあるかと思います。

それでも人は善良であろうとする、良識を保とうとする、ってのも「忠義」なのかも?私もジョイスさんに色々質問したいっ!(笑)

※このコラムはJ・ロイス(哲学者)の著書「忠義の哲学(忠誠の哲学)」を訳し、ジョジョで再構成し、噛み砕いて解説をされておられます。

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ジョジョの忠義な哲学 第6部 8~バケツリレー様

ジョサイア・ジョイスが語り直す、名著『忠義の哲学』!

(これまでを振り返るのはこちら

 (第1部第1回はこちら 4部までのまとめ

 

(登場人物紹介ページはこちら

 

ジョイス
「宗教心のほかにも「「義」の理想化」を助けてくれるものはある。
それも……とっておきのやつがあっただろう?」

 

 

康一
忠義の失敗や敗北、それによる「義」の喪失の悲しみですね」

 

 

由花子
「破壊され、失われた「義」――
「喪義」は遠大な理想として復活し、さらなる忠義を誘発し得る……
ってことは歴史が証明済み」

 

 

ジョイス
「とはいえ、この「喪義」の理想化の力は、歴史上の重大事にばかり関係することじゃあないんだぜ。
僕ら一人ひとりに大いに関わる事なんだ。

 

僕らの個人的な「義」を打ち砕いてしまうもの……
例えば「死」だよ。
悟ったよーなことをゆーよーだがよォ」(※1)
家族や友人の死は、耐えがたい悲しみであり別離だが、人生でもっとも重要な「「義」の理想化」のチャンスでもあるんだ」

 

 

康一
「例えば、警官だった祖父を殺された青年が……

 

この人は35年間 この町のおまわりをして来た
出世はしなかったけど 毎日この町を守るのがこの人の仕事だった」
「おれがこの町とおふくろを守りますよ
この人の代わりに……
どんなことが起ころうと…
」(※2)
って決意を固める、とかですね」

 

じいちゃんに代わって、杜王町を守るのはこのオレだ……(東方仗助)

イラスト:森子(お問い合わせはpixivへ

 

ジョイス
死者との思い出は、何であれ、かつて分かち合った大切なものを理想化するからな。
また、死者への畏敬は、その人の仕事を受け継ぎ、存続発展させようとする努力に尊厳を与える」

 

 

由花子
「交通事故で我が子を失った父親が、町の子供たちのために交通安全の見守り指導を続けるとか……
子供の命を奪った難病の治療のためのファンドを、母親が立ち上げる……っていうのもそうよね」

 

 

ジョイス
「ああ。
その例では、自らの「家族」という「義」が失われたことで……
「人々の「家族」への忠義」を守る、という遠大な理想が立ち上がり、その父親や母親を更なる忠義へと駆り立てているわけだ。

 

残された者の悲しみをそれだけで考えるならば、それは暗黒の絶望だ。

だが哀しみの光で「喪義」を見つめるならば!
新たな理想が発現するッッ

なぜなら、自分が大切だと思っていた「義」は、命あっての物種ではないと知るからだ!!
「義」には初めから、「人間を超越するもの」が備わっていたのだとね。

 

過去について記憶が投げかける魔力。
目に見える存在が奪い去られた時の想像力の覚醒。
それは「個々の人間を超越する世界」へ、残された者の意識をつなぐ。

そして起こる悲嘆からの熱狂的反動ッッ

 

これまでの「義」は失われ、自分の生き方も変わらざるを得ない。
死んでしまった我が子の世話を焼いて、導いてやることはもうできない。
「喪義」は新たなやり方での忠義を求める……

こうして、敗北や喪失の際に「「義」の理想化」の大きなチャンスが訪れるのさ

 

 

康一
「個々の「義」を「人間を超越する世界」へとつないで理想化する……
宗教心と同じような効果ですね」

 

 

由花子
「そもそも、宗教心って「死」やそれによる悲しみと関わりが深いものね」

 

 

ジョイス
「たっぷり言わせてもらうが、
最悪の時にこそ! 『チャンス』というものは訪れる」(※3)


僕らにとって、敗北や喪失こそ忠義を強く育てるチャンス!!
あえて「「義」の理想化」の手段として活用するッッ

 

自分の「義」を!
「人類忠義の拡大」
「人々の信頼の絆の強化」
「あらゆる忠義の人生の調和、理想的統合」という「本義」へ近づけていくのだッッ!!

 

 

間田
「オレはさァ……
漫画家になりたかったんだ……岸辺露伴先生みたいに、みんなに作品を読んでもらえる漫画家にだよ。
描いては出版社に持ち込んだり、ネットで投稿してみたり、賞に応募してみたり、いろいろやった。
派遣事務の仕事で食いつなぎながらね。
15年だよ。でも全然ダメだった。
全く認められなかった。
「自分の描く漫画でみんなを面白がらせる」っていうオレの「義」は潰えたんだ。
敗北、絶望さ。

 

この状況……
とても忠義を強く育てるチャンス!なんて思えない。
もっといい漫画を描くんだ!なんて気は起こらない。
オレには忠義なんて意味ないんだよ」

 

 

ジョイス
「ふむ……
「義」とはッ
1 自分自身の「外」にあって、自分自身よりも価値がある
2 単なる個人意思を超越している
3 人を他者と結びつける(絆を生み出す)

この三つを満たすものだ。

 

間田君の「自分の描く漫画でみんなを面白がらせる」というのも、この定義に該当するとしよう。
で、君はこの「義」に尽くす……
つまり懸命に漫画を描き続けることで何を為そうとしていたのか?
単に「金やちやほやされるため」(※4)だけか?」

 

 

間田
「え? あ、まあ、そりゃもちろん、金も欲しいけど……
読んだ人が楽しんでくれて、元気が出るとか辛い現実を一時でも忘れられるとか……」

 

 

ジョイス
「そう、人々の心の慰安となり、明日への勇気を与え、時に人生の真実を伝える……
そういう目的が、漫画にはあるよな。
そして、これこそが君の「義」の本来の姿、と考えることはできないか?」

 

 

間田
「一皮むけた「義」のために、新たなやり方で力を尽くす……ってことか」

 

 

由花子
「漫画家になるのはダメって結果が出たっていうんなら、今までの忠義はあきらめるしかない。
とはいえ、個人にとっての最高善、最良の状態は忠義だから……
アンタが今の状況から抜け出したいんだったら、何らかの形で忠義にならないとね」

 

 

康一
[忠義の定義 ACT1]!
忠義とはッッ、
「自らの「義」を選び取ること、
その「義」のために懸命に行動すること」だッッッ!!!

 

ですから、具体的にどうするかは間田さん次第……」

 

悩める30代、間田敏和!

 

間田
「まあ、理屈はわかるけどさァ……
そもそも今までのオレが忠義だったかってのもちょいと自信ないし、
ましてや、これからその新しい「義」を理想化して、忠義に生きるなんて……

 

だいたい忠義に生きるヤツってのは、「義」のための努力をやらずにはいられない!
それが面白くてたまらないものなんだろ?
漫画を描いてたときみたいに、オレ、そういう気持ちになれるもんかな……」

 

 

ジョイス
これは「試練」だッッ
そして、それが自らの忠義を育てるのに必要な最後の一つ!!

 

 

由花子
「「先達」「「義」の理想化」に続く三つ目ね」

 

 

ジョイス
「最も普通、それでいて大抵の場合、何よりも困難なものだがね。
忠義とは、自らの「義」のために懸命に行動することだ。

 

どう行動すればいいのか……?

それは、行動することで学ぶんだ。
苦難に立ち向かうんだよ。
敗北! 悲嘆!
絶望から抜け出すには、無我夢中で、ガムシャラに行動するしかない……
そんな時にこそ、真の忠義を理解できるッッ」

 

 

康一
「真の忠義……
「人類忠義の拡大」「あらゆる忠義の人生の調和、理想的統合」という「本義」への忠義ですね?」

 

 

ジョイス
「そうさ。
果て無き苦難の中で忠義に生き、「義」のために真剣に自己を捧げ続けるならば、誰もが知ることになる。
僕らそれぞれの「義」はどれも!
この「本義」の一部……
すなわち!
現世においては達成されることのない「喪義」の一部なのだッッッ!!

 

 

間田
「オレの新たな「義」――
「人々に心の慰安を、明日への勇気を与え、時に人生の真実を伝える」ってのもその一つだと……?」

 

 

ジョイス
「ああ。
とはいえ、だ。
人を慰め、活力や知識を与えたところで、そいつが人の最高善たる忠義を知ることがなかったら……
元気を出したはいいが、自分の利益のためだけに生きるようになったとしたらどうだ?」

 

 

由花子
「それじゃあ、片手落ちの「プッ忠義」ね。
下手したら、忠義の破壊、不忠を広げることになってしまうか、も……

 

 

康一
[忠義の定義 ACT2]!
忠義は伝染する善であるッ
他人の忠義に敬意を払い、人類忠義の拡大を志す!
忠義に対し忠義であれッッ!

 

だから、どんな「義」を選んだにしても、「人類忠義の拡大」につながるようにやらないと、本当に忠義にはなれないってこと。
しかも実際にそれを追求するとなると、困難、挫折の連続……
まさに「試練」ですよ

 

 

ジョイス
「そういうことだ。
結局のところ!
僕らが自分の忠義を鍛え、育てるのに必要なもの――

「先達」「理想」「試練」!!

これらはすべて僕らを「喪義」――
「人類忠義の拡大」「あらゆる忠義の人生の調和、理想的統合」という「本義」へと導く。

 

すなわち!
僕らを精神的真理の領域へと押し上げてくれるのだッッッ!

 

 

由花子
「精神的真理……?」

 

 

間田
「……やっぱさァ、どうも信じられないよ。
さっきからさかんに「真の忠義」とか「真理」とかって言ってるけど、人間の精神に「真理」なんてないでしょ。
ファンタジーやメルヘンじゃあないんだから。

 

「真理」なんて、立場や状況や時代によって変わってくる。
「忠義」は「義」の生み出す「絆」のために行動する……
つまりは「関係性」のために行動するんだろ?

 

人間同士の関係なんて不安定なものだし、諸行無常ッッ
何の保証もない!!
「忠義への忠義」だって、本当に価値あるものなのかい?

 

 

康一
「間田さん………」

 

 

ジョイス
「フフフ、ハハハハハハハハハハ
なかなか「グッとくる」疑問をぶつけてくれるじゃあないか。
うれしいねェ。
だが、今は残念ながら時間切れだ。
詳しくはまた次回だな」


第6部完

 

 

エンディングテーマ  Weather Report / Teen Town

 

次回、第7部スタート……の前に!

「5部&6部まとめ」だッッッ

 

※1:『ジョジョの奇妙な冒険』第17巻

※2:『ジョジョの奇妙な冒険』第29巻

※3:『ジョジョの奇妙な冒険』第46巻

※4:『ジョジョの奇妙な冒険』第34巻

 

(了)


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