STORY
深夜2時、アダルト雑誌『⽉刊エレクト』 の編集⻑で 46 歳の⼭崎隆⼆ (津⽥英佑) は、かつての恋⼈・川上由希⼦ (名塚佳織・たむらもとこ) から、19 年ぶりに電話を受け取る。 声だけで由希⼦だとわかった瞬間、彼の中に静かに沈んでいた記憶の湖底が揺れ動く。 由希⼦は⼤学時代に 3 年間付き合った恋⼈で、 今は結婚し⼆⼈の⼦どもを持っているという──その知らせに、 ⼭崎は⻑らく封じ込めていた過去を思い起こし、⾃⾝の⼈⽣を振り返り始める 。
思い出の中には、同郷の親友の森本(菊地まさはる) 、19 歳年下で中野でバイトする恋⼈・浅川七海(倉本夏希) 、編集部の恩⼈・沢井(鈴⽊秀和) 、沢井の娘・洋⼦(やまうちせりな)、仕事仲間の五⼗嵐(結城遊輝) 、デザイナーの野⼝早苗(⽩浜萌・⾹⽉茉莉花)、 ⾵俗ライター⾼⽊ (岩尾万太郎)、 ⾵俗嬢の可奈 (楓菜々・もりたまりな)、 伊都⼦など多くの⼈物が登場する。それぞれが⼭崎の⼈⽣に影響を与え、特にバイト先のロック喫茶の店⻑・渡辺 (⽚⼭浩憲)・妻・聡⼦ (髙⽊デリス・熊⽊凜) に温かく迎えられたことから⼭崎と由希⼦の関係を深めるきっかけとなった存在だったが、やがて渡辺は・・・由希⼦との関係は、 伊都⼦との関係が原因で破綻する。 伊都⼦は由希⼦の親友でありながら、 由希⼦の恋⼈である⼭崎を奪い、その⾏為が別れを決定づけた。 由希⼦はその後⼤学を去り、連絡を絶ったまま、結婚し⺟となる。今、再び⼭崎に連絡を取ったのは、過去にけじめをつけたい気持ち、そして 19 年前と変わらずつながっていたいという思いが⼊り交じっているのだろう 。
その⼀⽅で、⼭崎の⼈⽣には仕事と恋もあった。 編集者としての恩⼈沢井が肺癌で⼊院、⼭崎⾃⾝も「編集の枠を超えた仕事」 を意識し始める。 恋⼈の七海との関係も、19 歳違いという隔たりがありながらも、⼭崎にとっては現在を⽀える存在だった。
物語は、 現在の⼭崎が由希⼦からの電話をきっかけに、 過去への旅を⼼の中で始め、かつて出会った⼈々とのやり取りや思い出を回想しながら進む。⼀⽅で、過去は決して終わったものではなく、記憶という形で今も彼の中に⽣き続けている。
「⼈は、⼀度巡り合った⼈と
⼆度と別れることはできない」
──この⾔葉は、 物語の冒頭と終盤に通底し、⼭崎の⼈⽣観を象徴する 。最後に⼭崎は、 由希⼦との再会を果たす。 ⼆⼈の会話は過去と現在を⾏き来しながらも静かで誠実だ。⼭崎は⾔う
──「僕たちの関係は⼀⽣続いていく」と。
由希⼦もまた、別れを誤りだったかどうか確かめるように、⼭崎と再会したのだ。
タイトルの「パイロットフィッシュ」 は、 ⽔槽環境を整えるために最初に⼊れる導⼊⽤の⿂のこと。 物語では、⼭崎の⼈⽣において渡辺や沢井といった⼈物がパイロットフィッシュのように働き、彼を⽀え、環境を整えてきた存在であった。しかしその「⿂」はいつしか役⽬を終え去り、新たな⽔槽へ移るための決断 (=⼭崎の⼈⽣の次のステップ)が促される。過去の⼈々との記憶は消えないが、住む「⽔槽」は変えうる──それがこの作品が描く深さでもある。感情の揺れや登場⼈物の関係性が有機的に絡み合い、「記憶とは何か」「⼈とのつながりとは何か」を問いかけます。
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浅川七海役で出演します。「⼈は、⼀度巡り合った⼈と⼆度と別れることはできない」大切な人、自身の人との巡り合わせを振り返りながら物語を紡いでいきたいです
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