母の入院する病院は名鉄電車と市電に乗り継ぐ必要がありました。
駅で切符を買って電車に乗ろうとするとき駅員さんに声をかけられるようになりました。
小学生にもならないのに毎日通うからです。
母の好きなソフトクリームを魔法瓶に入れて持っていってやろうと名古屋駅の食堂に出入りするようになると、店長さんにいつもお気遣いいただきました。病院へ行く時間には、お気をつけいただいて、声掛け見守りまでしていただきました。
ある日から、市電をやめ、徒歩で行くようにしました。
真夏の昼下がり、勝手口から飛び出した女性とぶつかり、魔法瓶を割ってしまいました。
そこは遊郭で、擦り傷を受けたわたくしは、抱きかかえられ、階段を上り、寝かされ手当てを受けました。楼主と思しき人の指示で、ソフトクリームと新品の魔法瓶が用意されました。しばらくして、そこを通ることがあり、その女性は結婚したと知らされました。そして、「幸せなことだ。喜んでやってくれ。」と結ばれました。
駅の駅長さんには、写生大会で指導を受け、そのおかげで入賞してしまいました。食堂の店長さんに対しても気になって、名古屋駅に寄る際には、その店の前を通るのが習慣になってしまいました。