庭に咲き乱れる薔薇はわたしの世界

そこに入ってきたのだから どうされようと
もうあなたに自由はないよ


何も知らずに歩くあなたの袖を隠れてた私は無造作に引っ張る

「わっ!」

ふいをつかれて バランスを崩し倒れるあなたをくすくす笑って見上げてる。

意地悪をしたくなったから 上から覆い被さって 顔を近付ける

こういうのって普通
逆かしらね?

びっくりしすぎて顔がひきつってるあなた

「ねぇ、あなた わたしの姉さんとの結婚を吹聴されたんですって?
そりゃあ 血筋からいえば、美しさからいえば彼女ですものね」

わたしとの関係がありながら、私を棄てるの?

と どんどん顔を近付ける。キスができるくらいにね。

「……そ、れは…
ローランド卿にいわれただけだよ。
僕が愛してるのは…君だけだ」

その言葉どれほどか?
「じゃあ この薔薇をいますぐ 手で100本とって 私にちょうだい。そうしたら信じます」

そうやって 一番棘が鋭い品種を指差す。

彼は固まる


わたしの情熱を傾けるだけの男じゃなかったかしら


戯れ……


あんなに熱くかわしたものも 一瞬で色褪せるものね。


つまらない。退屈だわ、


そう思って 彼から離れ 歩き出す

彼はあわれ、

そのまま 呆然と座り込む


もう わたしの心はすっかり 薔薇の中

あぁ、ほんとにお前たちはきれいね。

卑しさとは無縁ね


お前たちだけよ、

わたしの本当のキスの感触を与えられるのは。


今度は すみれ色の薔薇を埋めたいなぁ…


庭師を呼ばなきゃね