人間の形をした 美しく着飾っていても

富を誇っていても

冷たい人形たちに
囲まれて うんざりしている

だけどどこにもいけない

いく情熱もない


人を愛するとはどういう感情……


そう思うわたしも、彼らの仲間

きれいな服をきて

甘い砂糖菓子を食べて

どこか遠くの世界では戦争が起こっているのに


偽者ばかりのなかでワルツを踊る

美しい顔立ちの、王子様のような人にプロポーズされ、

うれしいから、断るすべもない。


だけど あの日 屋敷に怪我をして入ってきた

私たちとは「違う種類の」人間。

彼を誰もいない部屋に隠して

介抱してあげる。

黙って逃がしてあげた

違う「種類」の人と接したのは初めて


婚約者がレディの前では決してしない話を廊下でしていた


反社会活動をしている連中がうろうろしている…って


きっと…彼もそうだったんだな

そう思ってそれで終わった。


何日かたって


町にでたら 橋のたもとで彼にあう。


彼は私に気がついたけど わたしはしらないふり。


通りすぎようとして


彼に呼び止められる

お礼と、なんだか わたしの周りにはいない感じの 表情が豊かな笑い方

去ろうとすると

肩越しに 待って、とまたよびとめられた

「僕は君に 会いたかった もう 一度 あってみたかったんだ……
聞こえる?」

すこし遠くからそう呼び掛けられた


彼の張りのある声とその言葉が私の胸 めがけまっすぐ 放たれる

氷が砕かれたような音がした


家に帰り 結婚式の準備


彼… 反社会活動って

なに


なにをもってそう情熱を傾けられるの


なんで そんなふうに真っ直ぐに人に気持ちをいえるの


選んでるドレスも まわりの連中の声も全然見えないし 聞こえない


この胸に残るものは

なんだろう


その日みた夢は海の波が 太陽に反射して黄金色に輝く夢

目が覚めながら

泣いていた……


ああ そう

わたしが欲しかったものはこれだったんだ

自分も血が流れてる人間だったんだ……


心から安心して

初めて心の底から泣いた。

結婚はやめようときめた。


みんなが待つ階下にそう決意して降りて行く

道のりは困難かな……

でも あのときの彼が教えてくれた


何よりも大切なこと


わたしもまた 君にあいたい。


まだ愛にもなってないけど


いま 一番にあってみたい人