うちのお店は、周辺では珍しい「ギャル雀」という形を取っていて、そのせいか他店のメンバーが来店することが多かった。

同じ駅近辺の雀荘からだけでなく、地域にある雀荘のほとんどのメンバーが遊びに訪れていた。

メンバーというのはやはり独特の雰囲気がある場合が多く、後ろで見たり同卓してみれば、結構わかるものである。


まずはやっぱり、牌捌きが綺麗な人が多いのだ。

それとともに打牌スピードが速く、一緒に打ってストレスがない。

また、点棒の払い方が綺麗だ。

そんな他店のメンバーの方々には、助けられることも多々ある。


私はそういったメンバーの方々に出会うと、積極的に話を聞いた。

麻雀のことでも仕事のことでも参考になる話が多いし、ずっと麻雀に触れているだけあって面白い話も多く聞けた。


普通のお客さんと比べて強い人が多いから、勝とうと思うと頑張らなきゃいけないんだけどね。

店には、麻雀初心者の女の子が多い。

よって、メンバーによるチョンボが多かった。


私は、お店で働いた約1年半の間、チョンボを一度もしたことがない。

まぁ普通は当たり前のことなんだけどねw


メンバーアウトもよく月トータルでプラスにしていたMYちゃんでさえ、チョンボの多さに私は驚いていた。

普通に、ノーテンリーチとかしちゃうし。

彼女の場合は下手というか、おっちょこちょいなんだとは思うが。


女の子のチョンボは、本当に良く見た。

フリテンや、役無しで倒牌してしまうとか、多面待になると待ちがわからないのは当たり前。

しかしそんなのはまだいいほうかな、と思えるくらいだから恐ろしい。

時には、聴牌すらしていない(シャンテンですらない)のに、倒牌してしまう子もいるのだ。


そんな中、YKちゃんはすごかった。

ある日彼女は、こんな手を聴牌し、リーチしていた。


四四四五五六六888①①①


四五六七待ちの、高めツモスーだ。

そしてなんと、場に出た七をスルーし、結果彼女は見事に四暗刻をツモあがったのだ!


後から聞いたら、彼女は多面待には気づいていなかった。

もちろん、その後他家から五六が出たらロンしていたという。

一歩間違えば、チョンボしていたのだ。


偶然って怖い。

お店を任せるくらいだから、しっかりした人を選ばなければならない。

候補に挙がったのは二人だった。

他店で長くメンバーをしていたMNさんと、MKさんだ。


私は、以前からMNさんを知っていた。

賢くとても真面目で、人間的に素晴らしい人だと思った。

なぜこれほどの人がこんな業界に?と思ってしまうような人だ。

そこはやはり、麻雀の持つ魅力というか魔力というか。


しかしMNさんには、麻雀界でやってみたいことがあった。もしメンバーになっても、長く店にはいられないということだった。

候補は早くも、MKさんに絞られた。


その頃なぜか私は、リアルタイムで店長から話を聞いていた。

話を聞かされるどころか、意見を求められていた感すらある。

店長は、私を気に入っていた。


しばらくして、やはりMKさんが採用されることとなった。


MKさんが採用される直前、私はフリーを打ちに来ていた彼と同卓する機会があった。

(当然なのだが)手慣れていてマナーがよく、感じのいい人だった。

私はそれくらいにしか思っていなかったが、MKさん曰くそのとき私にボコボコにされ、印象に残ったとのことだ。


MKさんが採用された理由のひとつに、5年も付き合っている彼女がいるということがあった。

店長は、KMちゃんの二の舞だけは避けたかった。