「GIANT KILLING」58巻について書いてみた【ネタバレ注意】 | 私は今日まで生きてみました

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ジャイキリ58巻では、大分戦の後半、椿が復活を果たすまでの様子が描かれています。まずは、例によって、この巻のおおまかな粗筋からどうぞ。



優勝争いをしているETUがJ2降格崖っぷちの大分を相手に1対1のイーブンスコアでハーフタイムに入ったリーグ戦ラスト4節目。達海は、昨年までのETUが現在の大分のように厳しい残留争いに巻き込まれてきた立場だったからといって、必要以上に目の前の大分を怖れ過ぎではないかと指摘する。

ハーフタイムの達海の指示を踏まえ、キャプテンの杉江をはじめとしたETUの選手たちは後半、超攻撃的な4-3-3の新システムに今挑んでいる意味、ETUの今季の躍進をもたらしたチャレンジ精神を再び思い起こし、前向きにプレーできるようになって、相手の組織が綻びを見せ始めたタイミングで勝ち越し点を挙げることに成功する。


一方、大分の側は、今季の残留を事実上諦めた上で来季以降に向けたチーム作りを行っているGM・監督の方針が、何はともあれ残留を第1目標としている選手たちにとっては面白くないものであったりして、その意識が試合中、監督の言うことに忠実に従わない組織の綻びとして現れてしまう。とはいえ、それでも目の前のゲームを勝つという共通の目標の下に再びチームはまとまることになる。


ゲームは残り20分、ETUが2対1と1点リードした場面で達海は椿を投入。入るべきポジションだけ伝えた上で、「後は頭カラッポにして好きなようにボール蹴ってこい。責任は俺がとる」と指示し、ETUサポーターの大声援が響き渡るピッチに椿を送り出す。

まだまだ精神的に立ち直りきれておらず、動きにも不安定な部分が見られる椿だったが、頭は働かなくても身体が本能的に動いて周りとの連携も取れ始め、そこから今の自分の原点となるかつて1人でボールを蹴って練習していた頃の自分自身を思い起こし、さらにはサッカーが好きでサッカーが上手くなりたくてプレーしていた気持ちを取り戻す。

本来の感覚を取り戻した椿が、不安定に見えた自らの存在をチームの弱点として突こうとしていた大分の隙を逆に突いてゴール前に見事なクロスを入れ、ドンピシャで合わせた夏木のヘッドでETUの3点目となる追加点が決まる。結果を出すことによって自分自身を挫折から救う形になった椿は、自らがその境地に至るまで見守ってくれた周囲の有り難さを改めて実感する。





最後は、いつものように感想や考察などを並べて締めにしたいと思います。


☆どんなスポーツのどんな戦いでも、負け癖が付いているチーム・勝ち慣れていないチームといわゆる強豪チーム・常勝チームとの間にはやっぱり何かしらの差があって、かつて弱かった側が一時的に善戦しているように見えても最終的に勝ちきれるかどうかはそこのところを打ち破れるかどうかだと思います。


☆これまでETUで達海が行ってきた仕事の中で肝心要な部分はどこなのかと言うと結局は上に書いたような話に行き着いて、この大分戦、ハーフタイムでチーム全体に与えた指示と、椿を復活させるまでに与えたアドバイスがその辺りを象徴しているような気がします。


☆チーム首脳陣と選手たちの間で意見が対立するなどして良くない関係性になることも十分にありうる訳ですが、ただ、互いにそのチームの一員としてやっていくのならば、大分の監督がやっていたように、相手の立場を尊重して一歩譲ることも大事かと。


☆達海も言っていたように、最終的に椿を立ち直らせることが出来るのは椿本人しかいない訳ですが、ただ、それも、周囲によるポジティブな後押しあってこそ…とはいえ、その後押しも、それまでの椿の生き様あってこそのものですし…こうなってくると、卵が先なのか、鶏が先なのか、よく分からないですね(苦笑)


☆椿の過去は、かつて藤澤記者による取材という形をとって一度描かれたことがありましたが、今回は、椿本人による回想ということで、あの時よりも詳しく描かれていましたね。椿がサッカーを始めるにあたってお姉さんの存在が非常に大きかったというのは初めて知りました。


☆ピッチ上で結果を出せたことによって再び安定してサッカーで心を動かせるようになった椿。もう心配は要らなさそうですね。まだ気が早いかもしれませんが、ETUでの活躍は勿論のこと、代表での逆襲も楽しみです。





以上、ジャイキリ58巻について相変わらずまとまりのない感じでごちゃごちゃと書いてみました。